下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成16年 問5

【問 5】 甲マンション管理組合において規約を変更する場合、規約で定めることができるものは、区分所有法の規定によれば、次のうちどれか。

1 集会室として使用している専有部分について、所有者である区分所有者の同意を得たが、抵当権者の承諾を得ないで、共用部分とすると定めること。

2 集会の招集について、区分所有法の規定により集会の目的たる決議事項が議案の要領の通知をしなければならないものを除き、招集手続を省略することができると定めること。

3 共用部分の工事と一緒に実施する区分所有者の発注に係る専有部分の修繕の費用について、甲が当該区分所有者の特定承継人に対して請求することができると定めること。

4 管理者について、甲マンションの管理を受託した管理会社と集会の決議によって選出された区分所有者の両者とすることができると定めること。

【解答及び解説】

【問 5】 正解 4

1 定めることができない。規約の設定により、区分所有者以外の者の権利を害することができない。そして、すでに抵当権の設定されている専有部分を規約共用部分にすると、登記記録上、表題部に規約共用部分の登記がされることにより権利部は閉鎖され、抵当権の実行をすることができなくなる。したがって、抵当権者の承諾を得ないで、規約により専有部分を規約共用部分とすることはできない。
*区分所有法30条4項

2 定めることができない。集会は、「区分所有者全員の同意」があるときは、招集の手続を経ないで開くことができるが、規約で、区分所有法の規定により集会の目的たる決議事項が議案の要領の通知をしなければならないものを除き、招集手続を省略することができる旨の規定を定めることはできない。
*区分所有法36条

3 定めることができない。区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。しかし、専有部分に関する債権については、特定承継人に対して行うことはできず、規約にもそのような定めをすることはできない。
*区分所有法8条

4 定めることができる。区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。そして、管理者の数については、区分所有法上制限はないので、複数選任することができる。したがって、規約で本肢のような定めをすることもできる。
*区分所有法25条1項