下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成15年 問30

【問 30】 甲マンション管理組合の区分所有者Aが管理費を滞納している場合に関する次の記述のうち、区分所有法、民法及び民事訴訟法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aの死亡後、専有部分の登記名義がAのままになっている場合、甲は、Aの相続人に対して滞納管理費の支払請求訴訟を提起することはできない。

2 Aが滞納管理費の支払をしないままBに専有部分を売却した場合、甲は、Aに対して滞納管理費の支払を請求することはできない。

3 甲が裁判所にAに対する支払督促の申立てを行った場合において、Aがそれに対し適法な異議の申立てを行ったときは、甲の支払請求は、通常の訴訟に移行することになる。

4 甲がAに対し6カ月ごとに配達証明付き内容証明郵便で支払を督促し、その郵便が配達されていれば、滞納管理費の支払請求権の消滅時効は、その完成が猶予される。

【解答及び解説】

【問 30】 正解 3

1 誤り。相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するので、たとえ専有部分の登記名義がA名義のままであったとしても、Aの滞納管理費の支払義務を負う。
*民法896条

2 誤り。債務者たる区分所有者に対する債権は、その特定承継人に対しても行うことができるが、これは区分所有者の責任を免除するものではなく、当該区分所有者と特定承継人の双方が債務を負う。
*区分所有法8条

3 正しい。支払督促の申立てに対して適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、通常の訴訟に移行することになる。
*民事訴訟法395条

4 誤り。催告があったときは、その時から6ヶ月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。ただ、催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、時効の完成猶予の効力を有しない。したがって、6ヶ月ごとに催告を繰り返しても同じである。
*民法150条2項