下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成15年 問14

【問 14】 甲マンション管理組合法人の代表理事(5人の理事のうち、規約により甲を代表すべきものとされた理事をいう。)Aは、集会の決議により修繕積立金のうち1億円を特定の債券の購入によって運用することを任されたが、独断でB証券会社から1億5千万円を投じて当該債券を購入し、売却したところ、その値下がりにより甲に損害を与えた。この場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 Aは、集会の決議に反し、指定された金額を超えて債券を購入したので、甲に対する債務不履行責任を負う。

2 Aに権限がなかった以上、甲は、Bに対し、Aが独断で債券を購入した5千万円の返還を請求することができる。

3 甲は、集会の決議により、Aを解任してA以外の理事のうち一人を甲を代表する者と指定し、Aに対し、独断で運用した5千万円分についての損害の賠償を請求する訴訟を提起することができる。

4 Aは、各区分所有者に対して、個別に不法行為責任を負わない。

【解答及び解説】

【問 14】 正解 2

1 正しい。管理組合法人の理事は、管理組合法人とは委任関係にあるとされるので、指定された金額を超えて債券を購入したことは、善管注意義務違反となり、甲に対する債務不履行責任を負う。
*民法644条

2 誤り。理事の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができないので、Aに権限がなかったとしても、甲は、Bに対し5千万円の返還を請求することができない。
*区分所有法49条の2

3 正しい。管理組合法人は、集会の決議によって理事を解任することができ、また理事は善管注意義務違反として管理組合法人に対して債務不履行責任を負っているので、甲はAに対して5千万円の損害賠償請求訴訟を提起することができる。
*区分所有法49条8項、民法644条

4 正しい。Aの責任は、管理組合法人に対する責任であり、各区分所有者に対して個別に不法行為責任を負わない。