下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成15年 問12

【問 12】 AがBにマンションの1室を売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 AB間の売買契約がBの詐欺により締結され、Bに登記が移転した場合において、Aが当該売買契約を取り消したときは、Bは、Aの売買代金の返還と引換えに、Bへの所有権移転登記を抹消しなければならない。

2 AB間の売買契約が著しく廉価で行われ、Bの暴利行為である場合、Aは、暴利行為を理由として、当該売買契約を取り消すことができる。

3 Aが保佐開始の審判を受けている場合、Aの長男Cは、Aの保佐人でなくても、当該売買契約を取り消すことができる。

4 Aの債権者Dは、その債権がAB間の売買契約の締結後に発生したものであっても、Bに対し、当該売買契約を詐害行為であるとして、その取消しを裁判所に請求することができる。

【解答及び解説】

【問 12】 正解 1

1 正しい。売買契約が取り消された場合の原状回復義務は、同時履行の関係にあり、Bは、Aの売買代金の返還と引換えに、Bへの所有権移転登記を抹消する必要がある。
*民法533条

2 誤り。暴利行為は公序良俗違反の契約ということになり、そのような契約は無効であり、取り消すまでもなく効力はない。
*民法90条

3 誤り。被保佐人が行為を行った場合に取消権を有するのは、保佐人であり、被保佐人の長男であるからといって、取消権を有するわけではない。
*民法120条1項

4 誤り。債権者は、その債権が詐害行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、詐害行為取消請求をすることができる。したがって、AD間の債権が、AB間の売買契約の締結後に発生したものであれば、詐害行為取消請求をすることはできない。
*民法424条3項