下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成14年 問31

【問 31】 Aは、B所有の中古マンションの一室を取得したところ、管理組合からBの管理費滞納分を請求された。この場合におけるAの主張に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 「滞納分はBが全責任をもって管理組合に支払い、Aには一切迷惑をかけない。」という念書をもらって売買したのだから、私に支払義務はない。

2 私は競売代金全額を裁判所に支払って買受人となったが、この物件の現況調査報告書に管理費の滞納分について記載がなかったので、私に支払義務はない。

3 仲介業者からBに滞納分があると聞いていたので、私に支払義務があるのはやむを得ないとしても、支払いを遅延したのはBであって私ではないから、私に遅延損害金の支払義務はない。

4 管理組合とBとの間に、Bが滞納分の全額を支払う旨の和解が成立しているから、私に支払義務はない。

【解答及び解説】

【問 31】 正解 4

1 誤り。滞納管理費に関する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。本肢の念書は、AB間において効力を持つにすぎす、念書の存在をもって管理組合に支払義務がない旨の主張をすることはできない。
*区分所有法8条

2 誤り。滞納管理費に関する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。競売による競落人も、特定承継人に該当するので、競売の現況調査報告書に管理費の滞納分について記載がなかったからといって、特定承継人が支払義務を免れるものではない。
*区分所有法8条

3 誤り。区分所有者に対する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。そして、滞納管理費だけでなく、その滞納による遅延損害金も、管理組合の区分所有者に対する債権であるから、特定承継人にも遅延損害金の支払義務がある。
*区分所有法8条

4 正しい。管理組合とBとの間に和解が成立することによって、この滞納管理費に関する債務を負うのはBのみということになり、Aの支払義務は消滅する。