下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成14年 問16

【問 16】 甲マンション管理組合の管理者Aが修繕積立金1,000万円を自己の事業のために費消した場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aは、個々の区分所有者に対する善良なる管理者の注意義務違反として、それぞれに対して債務不履行責任を負う。

2 Aは、故意に他人の権利を侵害した者として、甲に対して不法行為責任を負う。

3 区分所有者が集会において区分所有者及び議決権の各4分の3の賛成による決議をした場合には、指定された区分所有者が、区分所有者全員のために、Aに対して損害賠償を請求する訴訟を提起することができる。

4 Aに対する損害賠償請求権は、費消した時から3年で時効により消滅する。

【解答及び解説】

【問 16】 正解 2

1 誤り。管理者の権利義務は、委任に関する規定に従うので、管理組合に対して善管注意義務を負っているので、これに違反する場合は、区分所有者全員に対して債務不履行責任を負うが、この責任は個々の区分所有者に対する責任ではない。
*区分所有法28条

2 正しい。故意又は過失によって他人の権利を侵害しているので、不法行為が成立し、Aは甲に対して不法行為責任を負う。
*民法709条

3 誤り。損害賠償を請求するために、区分所有者及び議決権の各4分の3の賛成による集会の決議によって「指定された区分所有者」が、訴訟を提起できる旨の規定はない。

4 誤り。Aに対する損害賠償請求権の根拠を不法行為とするならば、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を「知った時」から3年間、「不法行為の時(費消した時)」から20年を経過したときは時効によって消滅する。
*民法724条