下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成14年 問15

【問 15】 Aマンション管理組合が屋上防水の全面改修工事をB工務店に発注する場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aの管理者は、集会の決議又は規約の定めがなくても、Bと請負契約を締結することができる。

2 Aの管理者が勤務しているBに工事を請け負わせることは利益相反行為に当たるので、規約に別段の定めがない場合でも、Aは、Bと請負契約を締結することができない。

3 Aの管理者は、Aが請負代金を支払うことができなかった場合には、Bに対して損害賠償責任を負う。

4 工事が4割程度完成した場合でも、Aは、Bに対して損害賠償をすれば、請負契約を解除することができる。

【解答及び解説】

【問 15】 正解 4

1 誤り。管理者は、保存行為は集会の決議又は規約の定めがなくてもできるが、変更行為は行うことはできず、Bと請負契約を締結することができない。
*区分所有法26条1項

2 誤り。Aの管理者が勤務しているBに工事を請け負わせることは利益相反行為に当たる可能性はあるが、法人でない管理組合の管理者と管理組合との利益相反行為に関する規定は区分所有法にはない。したがって、民法の自己契約が問題となるが、Aの管理者とBは一応別人格である。また、集会の決議があれば、管理者は集会の決議の実行として、Bと請負契約を締結することはできる。
*区分所有法26条1項

3 誤り。管理者がその職務の範囲内において第三者との間にした行為については、区分所有者がその責めを負い、その責任の割合は、共用部分の持分割合と同一の割合となる。管理者が損害賠償の責任を負うわけではない。
*区分所有法29条1項

4 正しい。請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。したがって、注文者のAは損害を賠償して請負契約を解除することができる。
*民法641条