下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成14年 問11

【問 11】 マンションの区分所有者が管理費を滞納している場合の消滅時効の完成猶予及び更新に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 区分所有者が滞納している管理費の一部を管理組合に弁済しても、残余の管理費についての時効は、更新されない。

2 管理組合が訴えを提起すれば、その訴えを取り下げたとしても、時効は更新される。

3 管理組合が書面で催告した場合、時効の完成は猶予されるが、6ヵ月以内に裁判上の請求その他の民法に定める手続きをとらないと、時効の完成猶予の効力は失われる。

4 管理組合が支払督促の申立てを行ったとしても、滞納者が異議を申し立てたときは、直ちに、時効の完成猶予の効力は失われる。

【解答及び解説】

【問 11】 正解 3

1 誤り。債務の一部の弁済は、時効の更新事由である「承認」に該当するので、残余の管理費についての時効は、更新される。
*民法152条1項

2 誤り。裁判上の請求は、時効の完成猶予及び更新事由に該当するが、訴えの取下げのように確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合には、時効の更新の効力は生じない。
*民法147条2項

3 正しい。催告があったときは、その時から6ヶ月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。そして、この6ヶ月の間に裁判上の請求など一定の行為をしなければ時効の完成猶予の効力は失われる。
*民法150条1項

4 誤り。支払督促の申立てに対して適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、支払督促の申立ての時に、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなされているので、時効の完成猶予の効力が失われることはない。
*民事訴訟法395条