下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成14年 問6

【問 6】 暴力団甲組の組長Aは、乙マンションの207号室を所有者Bから賃借し、居住していたが、対立する暴力団との抗争が激化し、Aが同室を甲組の指揮本部として使用したため、襲撃の目標となり、銃弾が打ち込まれるなど緊迫した雰囲気となった。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

1 AB間の賃貸借契約で、207号室をAが暴力団事務所として使用しない旨が約されている場合には、Bは、この賃貸借契約を解除することができる。

2 乙マンションの管理者Cは、集会で決議をした場合には、Aに対し、訴えをもって賃貸借契約の解除を請求することができる。

3 乙マンションの107号室を店舖として使用するDは、集会の決議がなくても、Aの行為により被った営業上の損害を賠償すべきことを、単独で、Aに対し請求することができる。

4 乙マンションの管理者Cが原告となってAに対し207号室の引渡しを訴求し、これを認容する判決が確定した場合には、その執行は、直接Bに同室を引き渡させるものとなる。

【解答及び解説】

【問 6】 正解 4

1 正しい。賃貸借契約に、暴力団事務所として使用しない旨が約されている以上、Aの用法違反ということになり。Bは賃貸借契約を、債務不履行を理由に解除することができる。
*民法541条

2 正しい。本問のAの行為は、区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であると十分みなされるので、マンションの管理者は集会の決議があれば、Aに対して訴えをもって賃貸借契約の解除を請求することができる。
*区分所有法60条1項

3 正しい。DはAの行為により、営業上の損害を被っているわけであるから、Aに対して不法行為による損害賠償を請求することができる。
*民法709条

4 誤り。占有者に対する引渡し請求が確定した場合、当該専有部分は訴訟の原告に一旦引渡されて、その後遅滞なく、その専有部分を占有する権原を有する者(B)にこれを引き渡さなければならないことになる。直接、Bに引渡されるわけではない。
*区分所有法60条3項