下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成14年 問5

【問 5】 区分所有者から専有部分を賃借した占有者によって区分所有者の共同生活上の利益が害されるため、当該専有部分の引渡しを請求する訴訟を提起する場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 占有者に対して訴訟を提起することができる者は、区分所有者の全員、管理組合法人、管理者又は集会において指定された区分所有者である。

2 当該専有部分の引渡しを請求するためには、賃貸借契約の解除を併せて請求することが必要であり、賃借人である占有者のほか、当該専有部分の区分所有者も被告にすることが必要である。

3 訴訟を提起するためには、当該占有者に弁明の機会を与える必要があるが、当該専有部分の区分所有者には弁明の機会を与える必要はない。

4 訴訟を提起した者が勝訴判決を得て、判決が確定した場合でも、占有者は、共同生活上の利益を害する行為を中止すれば、当該専有部分の引渡しを拒むことができる。

【解答及び解説】

【問 5】 正解 4

1 正しい。占有者に対する引き渡し請求の訴訟を提起することができる者は、まず区分所有者全員、管理組合が法人の場合は管理組合法人が訴訟を提起できることに問題はない。また、管理者は、規約又は集会の決議により、区分所有者のために原告又は被告となることができる。さらに、集会の決議があれば、特定の区分所有者が区分所有者全員のために原告となることもできる。
*区分所有法60条1項、26条4項

2 正しい。占有者に対する引渡しを請求するには、その前提として賃貸借契約が解除されていることが必要であり、また賃貸借契約の解除も請求する以上、賃貸借契約の当事者(所有者及び占有者)の双方を被告とする必要がある。
*区分所有法60条1項

3 正しい。占有者に対する引渡し請求においては、占有者に対して弁明の機会を与えればよく、区分所有者には弁明の機会を与える必要はないとされる。
*区分所有法60条2項

4 誤り。占有者に対する引渡し請求訴訟が判決で確定した時点で、占有者に対する引渡し請求権が発生し、その後占有者が共同生活上の利益を害する行為を中止したとしても、当該専有部分の引渡しを拒むことはできない。
*区分所有法60条