下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成13年 問34

【問 34】 マンション(管理組合法人が設立されているものとする。)の専有部分内で犬が飼育されている場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 区分所有者は、集会を開き、犬を飼育している区分所有者の承諾を得ることなく、犬の飼育を禁止する内容に規約を改正することができる。

2 犬の飼育を禁止する規約が設定されている場合、管理組合法人は、犬を飼育する区分所有者に対して犬の飼育を禁止することのほか、必要があれば、犬の引渡し又は売却を請求することができる。

3 犬の飼育に関する規約が定められていない場合であっても、犬の糞尿によるマンションの汚損や臭気が著しいときは、管理組合法人は、必要があれば、犬を飼育する区分所有者に対して飼育の禁止を請求することができる。

4 専有部分の賃借人が規約に反して犬を飼育していた場合、管理組合法人は、当該専有部分の区分所有者に請求することなく、直接、賃借人に対して犬の飼育の禁止を請求することができる。

【解答及び解説】

【問 34】 正解 2

1 正しい。規約の変更には、集会の決議に加え、一部の区分所有者の権利に「特別の影響」を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならないが、マンション内で動物の飼育を一律に禁止する規約の変更も区分所有者の権利に特別の影響を与えるものでないとされている(東京高裁平成6年8月4日)。
*区分所有法31条1項

2 誤り。区分所有者が共同の利益に反する行為をしている場合に、管理組合法人は、区分所有者の「区分所有権及び敷地利用権」の競売等は請求することができるが、犬の引渡し又は売却を請求することはできない。
*区分所有法59条

3 正しい。区分所有者が共同の利益に反する行為をした場合には、管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。したがって、犬の飼育の禁止を請求することもできる。
*区分所有法57条1項

4 正しい。占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負うので、管理組合法人は、直接、賃借人に対して犬の飼育の禁止を請求することができる。
*区分所有法46条2項