下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成13年 問21

【問 21】 買主Aは、宅地建物取引業者Cの媒介で、売主である宅地建物取引業者Bから甲マンションの201号室を購入する契約を締結し、入居した。この場合に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

1 本件契約は3割の値引きをしたので、Bは現状のまま売り渡すこととし、契約不適合責任を負わない旨の特約をした場合、この特約は有効である。

2 Bの管理費の滞納額について、Cが重要事項として説明をせず、宅地建物取引業者でないAが支払わざるを得なくなった場合、Aは、Cに損害賠償を請求することができる。

3 ガス給湯器の故障について、Bから賃借していたDに責任がある場合、Aは、Bに損害賠償を請求することができる。

4 上階301号室の汚水排水管の枝管(同室の床下コンクリートスラブと201号室の天井板との空間を通っており、301号室からの点検及び修理は不可能である。)の経年劣化により水漏れが生じた場合、Aは、301号室の区分所有者Eに損害賠償を請求することができる。

【解答及び解説】

【問 21】 解答 2

1 誤り。宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、買主が宅地建物取引業者でない場合、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、責任を負う期間を除いて、民法の規定より買主に不利となる特約をしてはならない。本肢では買主が宅地建物取引業者かどうか不明であるが、買主が宅地建物取引業者でない場合は、このような特約は無効となるので、有効であるとは限らない。
*宅建業法40条

2 正しい。管理費の滞納額については、重要事項の説明事項となっているので、その説明をせず、相手方が損害を被ったら、Cの債務不履行として、AはCに損害賠償を請求することができる。
*宅建業法施行規則16条の2第7号、民法514条

3 誤り。ガス給湯器の故障については、建物の契約不適合であると考えられるが、契約不適合責任のうち損害賠償請求については売主の過失責任であり、本件契約不適合について賃借人Dに責任があるので、BはAに対して損害賠償の責任を負う必要はない。
*民法564条

4 誤り。AからEへの損害賠償請求は、不法行為を根拠とすることになるが、不法行為が成立するには、加害者の故意・過失が必要となる。本肢汚水排水管の枝管は、301号室からの点検及び修理は不可能である以上、Eには過失もないものと認められる。したがって、AからEへ損害賠償を請求することはできない。
*民法709条


【解法のテクニック】肢1については、融通を利かして解答して下さい。買主が宅地建物取引業者かどうか不明なので、両方の場合を考えて、解説に書いてあるように、有効とは限らないので「×」。そして、本問では肢2が確実に正解であるので、肢1は「×」でよかったと確認できます。こういう問題は、たまにありますが、柔軟に対応する力を身に付けて下さい。