下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成13年 問14

【問 14】 Aがその所有するマンションの専有部分をBに賃貸した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。ただし、当該賃貸借契約は、定期建物賃貸借契約ではないものとする。

1 AB間の賃貸借契約は、書面によらなければ成立しない。

2 BがAに無断で賃借権を第三者Cに譲渡する契約を締結したとしても、Aは、Cがマンションの使用を開始しない限り、賃貸借契約を解除することができない。

3 BがAに交付した敷金については、Aが当該専有部分の区分所有権を第三者Dに譲渡し、Dが新たな賃貸人となった場合でも、特約がない限り、Aが、契約終了時にBに敷金返還債務を負う。

4 Bが、Aに対して事前に連絡をしないでその専有部分の修繕に必要な費用を出費した場合、その償還請求をすることができない。

【解答及び解説】

【問 14】 正解 2

1 誤り。賃貸借契約は諾成契約であり、書面によらなければ成立しないわけではない。
*民法601条

2 正しい。賃借権の無断譲渡は禁止されるが、これに違反して第三者に賃借物の「使用又は収益をさせたとき」にはじめて賃貸人は、契約の解除をすることができる。賃借権の譲渡契約をしただけで契約を解除されるわけではない。
*民法612条2項

3 誤り。賃貸物が譲渡され、賃貸人の地位が移転した場合は、敷金関係も新所有者に移転する(判例)。したがって、DがBに対する敷金返還債務を負う。

4 誤り。賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。この請求をするのに、事前に賃貸人に通知することは不要である。
*民法608条1項