下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成13年 問7

【問 7】 管理者の権限又は義務に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理者が自己の名義で銀行に預金していた管理費を自己の用途に使った場合、各区分所有者は、区分所有者全員又は管理組合のために、その額について損害賠償を請求することができる。

2 管理者は、規約に特段の定めがない限り、規約、集会の議事録、書面決議の書面及びその事務に関する報告書を保管し、利害関係人の閲覧に供する義務を負う。

3 管理者は、善良なる管理者の注意義務をもってその職務を処理することが必要であり、これに違反した場合には、自己がその事務をその本旨に従って履行したことを証明しない限り、法的な責任を負う。

4 管理者は、規約に基づき原告又は被告となったときは、区分所有者にその旨を通知することを要しない。

【解答及び解説】

【問 7】 正解 3

1 誤り。本肢の管理費は、区分所有者の共有になるものと考えられる。そして、共有物を侵害する者に対する妨害排除請求権は、保存行為として各共有者が単独で請求することができるが、不法行為に基づく損害賠償請求権は、各共有者は自己の持分についてのみ請求することができ、他の共有者の分まで請求することはできない(判例)。したがって、各区分所有者は、区分所有者「全員」のため、又は管理組合のために損害賠償を請求することはできない。

2 誤り。規約、集会の議事録、書面決議の書面については、管理者は、規約に特段の定めがない限り保管し、利害関係人の閲覧に供する義務を負うとする規定はあるが、事務に関する報告書については、そのような規定はない。
*区分所有法33条1項、42条5項、45条5項、43条参照

3 正しい。管理者の権利義務は、委任に関する規定に従うので、管理者は善良なる管理者の注意義務が課され、その義務に違反した場合は債務不履行になり、自己がその事務をその本旨に従って履行したことを証明しない限り、責任を負う。
*区分所有法28条

4 誤り。管理者は、規約により原告又は被告となったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。
*区分所有法26条5項