下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
管理業務主任者 過去問解説 令和7年 問39
【問 39】 マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、最も適切なものはどれか。
1 管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、その相続人のあることが明らかでないときは、管理組合は、家庭裁判所に対し相続財産の清算人の選任を請求することができる。
2 管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、その相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から10箇月以内に、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
3 管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、遺産分割により当該区分所有者の区分所有権を取得する相続人が決定するまでは、管理組合はその滞納している管理費を請求することができない。
4 管理組合は、相続人に対し、被相続人である前区分所有者の滞納管理費を請求することができるが、相続人に支払遅延の責任はないため、その遅延損害金を請求することはできない。
【解答及び解説】
【問 39】 正解 1
1 適切。相続人のあることが明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。管理組合は、この利害関係人に該当する。
*民法952条1項
2 不適切。相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から「3箇月」以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
*民法915条1項
3 不適切。被相続人の有する金銭債務のような可分債務については、遺産分割前であっても、相続人は、相続分に応じて分割されたものを相続する(判例)。したがって、管理組合はその滞納している管理費を請求することができる。
4 不適切。相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するので、被相続人が負担していた遅延損害金の支払義務も承継する。
*民法896条
【解法のポイント】この問題の正解肢の肢1は、実はマンション管理士で出題されたことがありますが([R6マ-17(1)])、難解な肢だと思います。管理業務主任者の受験生としては、消去法で正解を導いて下さい。