下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 令和4年 問32

【問 32】 マンション管理組合総会での議決権行使に関する議長の取扱いについての次の記述のうち、民法、標準管理規約(単棟型)、標準管理規約(団地型)及び標準管理規約(複合用途型)によれば、不適切なものはいくつあるか。

ア 2住戸を有する区分所有者が、同一議案について1住戸の議決権は反対し、他の1住戸の議決権は賛成する議決権行使書を提出したので、それらの議決権行使を認めた。

イ 団地総会において、当該団地1号棟の組合員Aが当該団地5号棟の組合員Bを代理人とする委任状を提出したので、BによるAの議決権行使を認めた。

ウ 全ての議案に「反対」の記載があり、当該区分所有者の署名はなされているが、押印がないため有効な議決権行使書として認めなかった。

エ 店舗の営業制限が議題になっているため、当該店舗区分所有者からの委任状を提出した弁護士に、弁護士であることを理由に議決権行使を認めた。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【解答及び解説】

【問 32】 正解 3

ア 不適切。書面による議決権の行使とは、総会には出席しないで、総会の開催前に「各議案ごとの賛否」を記載した書面(いわゆる「議決権行使書」)を総会の招集者に提出することである。本肢のように同一議案について、賛成・反対の両方の議決権を行使することはできない。
*標準管理規約46条関係コメント⑥

イ 適切。組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、その組合員の配偶者又は一親等の親族、その組合員の住戸に同居する親族、「他の組合員」でなければならない。AとBは異なる棟の組合員ではあるが、いずれも団地管理組合の組合員であるから、Bの議決権行使は認められる。
*標準管理規約団地型48条5項3号

ウ 不適切。議決権行使書については、特に押印が必要である旨の規定はなく、署名はあるが、押印のない議決権行使書も有効として扱う必要がある。
*標準管理規約46条4項

エ 不適切。組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、その組合員の配偶者又は一親等の親族、その組合員の住戸に同居する親族又は他の組合員でなければならない。弁護士は、このどれにも該当しないので、委任状を提出した弁護士に議決権行使を認めることは適切ではない。
*標準管理規約複合用途型50条5項3号


以上より、不適切なものは、ア、ウ、エの三つであり、正解は肢3となる。


【解法のポイント】この問題は、単棟型・団地型・複合用途型をまとめて問うていますが、それほど複雑な問題ではなく、解答は導けたのではないかと思います。