下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
管理業務主任者 過去問解説 令和4年 問20
【問 20】 コンクリートのひび割れの補修に関する次の記述のうち、「コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針2013」(公益社団法人 日本コンクリート工学会)によれば、最も不適切なものはどれか。
1 外気温の変動による挙動が小さいひび割れ幅0.1mmの補修に、ポリマーセメントペーストによるひび割れ被覆工法を適用した。
2 外気温の変動による挙動が小さいひび割れ幅0.5mmの補修に、アクリル樹脂系注入材による注入工法を適用した。
3 外気温の変動による挙動が大きいひび割れ幅0.5mmの補修に、ポリマーセメントペーストによる注入工法を適用した。
4 外気温の変動による挙動が大きいひび割れ幅1.0mmの補修に、可撓性エポキシ樹脂による充填工法を適用した。
【解答及び解説】
【解法のポイント】コンクリートのひび割れの補修方法については、マンション管理士では何問も出題されていますが、管理業務主任者では初めてではなかったかと思います。具体的なひび割れ幅と使用する材料の関係が問われており、間違えても仕方がない問題でしょう。
【問 20】 正解 3
1 適切。ひび割れ被覆工法とは、微細なひび割れ(一般に幅「0.2mm以下」)の上に塗膜を構成させ、防水性、耐久性を向上させる目的で行われる工法で、ひび割れのみを被覆する方法である。そして、このひび割れ被覆工法に用いられる材料は、補修目的やその部材(構造物)の置かれる環境により異なるが、一般には塗膜弾性防水材、「ポリマーセメントペースト」、セメントフィラーなどが用いられる。
2 適切。注入工法とは、ひび割れに樹脂系あるいはセメント系の材料を注入して、防水性、耐久性を向上させるものである。そして、ひび割れ補修用の注入材のうち、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの有機系については、ひび割れ幅が0.2~5.0mmの補修に適用される。
3 不適切。注入工法とは、ひび割れに樹脂系あるいはセメント系の材料を注入して、防水性、耐久性を向上させるものである。そして、ひび割れ補修用の注入材のうち、ポリマーセメント系については、ひび割れ幅が5.0mm以上の補修に適用される。
4 適切。充てん工法とは、0.5~1.0mm程度以上の比較的大きな幅のひび割れ、かつ、鋼材が腐食していない場合の補修に適する工法で、ひび割れに沿ってU字形にコンクリートをカットし、その部分に補修材を充てんする方法である。ひび割れ補修の充てん材は、動きが小さな欠陥部では、 可とう性エポキシ樹脂を用いることもある。