下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 令和4年 問9

【動画解説】法律 辻説法

【問 9】 管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び民事訴訟法によれば、最も適切なものはどれか。

1 管理組合が、管理費の滞納者に対し、滞納管理費の支払を内容証明郵便で請求した後、その時から6 箇月を経過するまでの間に、再度、滞納管理費の支払を内容証明郵便で請求すれば、あらためて時効の完成猶予の効力が生じる。

2 管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、遺産分割によって当該マンションを相続した相続人が滞納債務を承継し、他の相続人は滞納債務を承継しない。

3 管理費の滞納者が、滞納額25万円の一部であることを明示し、管理組合に対し5万円を支払った場合には、残りの20万円については、時効の更新の効力を有する。

4 管理費の滞納者が行方不明になった場合には、管理組合は、当該滞納者に対し、滞納管理費の支払についての訴えを提起することができない。

【解答及び解説】

【問 9】 正解 3

1 不適切。滞納管理費の支払を内容証明郵便で請求することは、時効の完成猶予事由の「催告」に該当するが、催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、時効の完成猶予の効力を有しない。
*民法150条2項

2 不適切。相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属するとされている。ただ、判例は金銭債務のような可分債務は、相続分に応じて分割されたものを相続するとしている。したがって、遺産分割によって当該マンションを相続した相続人だけが滞納債務を承継するわけではなく、他の相続人も滞納債務を承継する。
*民法898条

3 適切。債務の一部の支払は、それが一部であることが明示されている場合は、残額について「承認」として時効の更新の効力を生じる。
*民法152条1項

4 不適切。当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができるので、滞納者が行方不明になった場合でも、訴えを提起することができる。
*民事訴訟法110条1項1号


【解法のポイント】この問題は、過去に何度も出題されている内容の肢ばかりなので、大丈夫だったと思います。