下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 令和3年 問7

【問 7】 宅地建物取引業者が、管理組合の組合員から、当該組合員が所有する専有部分の売却の依頼を受け、その媒介の業務のために、管理規約の提供及び「別表第5(宅地建物取引業者等の求めに応じて開示する事項)」に掲げる事項の開示を求めてきた場合に、管理業者が当該管理組合に代わって行う対応に関する次の記述のうち、標準管理委託契約書によれば、適切なものはいくつあるか。ただし、管理業者は、その対応にあたって組合員等の個人情報の保護等を踏まえながら行うものとする。

ア 管理業者は、管理規約等の提供の業務に要する費用を当該宅地建物取引業者から受領することはできない。

イ 管理業者は、当該組合員が管理費等を滞納していることが明らかな場合であっても、当該宅地建物取引業者に対し、その清算に関する必要な措置を求めることはできない。

ウ 管理業者が管理規約の提供等を行う場合にあっては、管理規約等において宅地建物取引業者等への提供・開示に関する根拠が明確に規定されるとともに、これと整合的に管理委託契約書において管理業者による提供・開示に関して規定されることが必要である。

エ 宅地建物取引業者等を通じて専有部分の購入等を予定する者に管理組合の財務・管理に関する情報を提供・開示することは、当該購入等予定者の利益の保護等に資するとともに、マンション内におけるトラブルの未然防止、組合運営の円滑化、マンションの資産価値の向上等の観点からも有意義である。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【解答及び解説】

【問 7】 正解 2

ア 不適切。管理業者は、管理規約等の提供の業務に要する費用を管理規約の提供等を行う相手方から受領することができるものとする。
*標準管理委託契約書15条2項

イ 不適切。管理業者は、当該組合員が管理費等を滞納しているときは、管理組合に代わって、当該宅地建物取引業者に対し、その清算に関する必要な措置を求めることができるものとする。
*標準管理委託契約書15条3項

ウ 適切。本来、宅地建物取引業者等への管理組合の管理規約等の提供及び開示は管理規約及び使用細則の規定に基づき管理組合が行うべきものであるため、これらの事務を管理業者が行う場合にあっては、管理規約及び使用細則において宅地建物取引業者等への提供・開示に関する根拠が明確に規定されるとともに、これと整合的に本契約書において、管理業者による提供・開示に関して規定されることが必要である。
*標準管理委託契約書15条関係コメント②

エ 適切。宅地建物取引業者又は売主たる組合員を通じて専有部分の購入等を予定する者に管理組合の財務・管理に関する情報を提供・開示することは、当該購入等予定者の利益の保護等に資するとともに、マンション内におけるトラブルの未然防止、組合運営の円滑化、マンションの資産価値の向上等の観点からも有意義であることを踏まえて、提供・開示する範囲等について定めた規定である。
*標準管理委託契約書15条関係コメント①

以上より、適切なものは、ウ及びエの二つであり、正解は肢2となる。


【解法のポイント】ウとエは、コメントからの出題ですが、内容的には当然のことですので、比較的対応しやすかったのではないかと思います。なお、標準管理委託契約書は、標準管理規約と同様、コメントも含めて読み込んでおいて下さい。