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管理業務主任者 過去問解説 令和2年 問39
【問 39】 次の文章は、マンション等の建物に関する最高裁判所の判決の一部である。その文中の( ア )~( エ )に入る語句の組合せとして正しいものはどれか。なお、文中にある「居住者等」は、建物利用者、隣人、通行人等である。
建物の建築に携わる設計者、施工者及び( ア )(以下、併せて「設計・施工者等」という。)は、建物の建築に当たり、契約関係にない居住者等に対する関係でも、当該建物に建物としての( イ )が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負うと解するのが相当である。そして、設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に建物としての( イ )を損なう瑕疵があり、それにより居住者等の( ウ )が侵害された場合には、設計・施工者等は、・・(中略)・・これによって生じた損害について( エ )による賠償責任を負うというべきである。
建物の建築に携わる設計者、施工者及び( ア )(以下、併せて「設計・施工者等」という。)は、建物の建築に当たり、契約関係にない居住者等に対する関係でも、当該建物に建物としての( イ )が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負うと解するのが相当である。そして、設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に建物としての( イ )を損なう瑕疵があり、それにより居住者等の( ウ )が侵害された場合には、設計・施工者等は、・・(中略)・・これによって生じた損害について( エ )による賠償責任を負うというべきである。
( ア ) | ( イ ) | ( ウ ) | ( エ ) | |
1 | 工事監理者 | 契約適合性 | 生命又は身体 | 不法行為 |
2 | 工事監理者 | 基本的な安全性 | 生命、身体又は財産 | 不法行為 |
3 | 工事注文者 | 基本的な安全性 | 生命又は身体 | 債務不履行 |
4 | 工事注文者 | 契約適合性 | 生命、身体又は財産 | 債務不履行 |
【解答及び解説】
建物の建築に携わる設計者、施工者及び(ア=工事監理者)(以下、併せて「設計・施工者等」という。)は、建物の建築に当たり、契約関係にない居住者等に対する関係でも、当該建物に建物としての(イ=基本的な安全性)が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負うと解するのが相当である。そして、設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に建物としての(イ=基本的な安全性)を損なう瑕疵があり、それにより居住者等の(ウ=生命、身体又は財産)が侵害された場合には、設計・施工者等は、・・(中略)・・これによって生じた損害について(エ=不法行為)による賠償責任を負うというべきである(最判平成19年7月6日)。
以上より、ア=工事監理者、イ=基本的な安全性、ウ=生命、身体又は財産、エ=不法行為となり、肢2が正解となる。
【解法のポイント】本問は、設計・施工者等は、分譲業者のような注文者との間には建設請負契約の当事者として契約関係にありますが、その後に当該建物を購入した居住者とは直接の契約関係に立ちません。しかし、そのような契約関係にない場合でも、「不法行為」による損害賠償責任は可能だ、という大きな流れが分かれば、正解は簡単に導けたでしょう。
【問 39】 正解 2
問題文の最高裁判所の判決は以下のものである。建物の建築に携わる設計者、施工者及び(ア=工事監理者)(以下、併せて「設計・施工者等」という。)は、建物の建築に当たり、契約関係にない居住者等に対する関係でも、当該建物に建物としての(イ=基本的な安全性)が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負うと解するのが相当である。そして、設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に建物としての(イ=基本的な安全性)を損なう瑕疵があり、それにより居住者等の(ウ=生命、身体又は財産)が侵害された場合には、設計・施工者等は、・・(中略)・・これによって生じた損害について(エ=不法行為)による賠償責任を負うというべきである(最判平成19年7月6日)。
以上より、ア=工事監理者、イ=基本的な安全性、ウ=生命、身体又は財産、エ=不法行為となり、肢2が正解となる。
【解法のポイント】本問は、設計・施工者等は、分譲業者のような注文者との間には建設請負契約の当事者として契約関係にありますが、その後に当該建物を購入した居住者とは直接の契約関係に立ちません。しかし、そのような契約関係にない場合でも、「不法行為」による損害賠償責任は可能だ、という大きな流れが分かれば、正解は簡単に導けたでしょう。