下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 令和2年 問38

【動画解説】法律 辻説法

【問 38】 公正証書による原始規約(以下、本問において「本件規約」という。)の設定に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 本件規約は内部関係に関する規律であるため、規約共用部分を定める場合に、その旨の登記をしなくても第三者に対抗することができる。

2 本件規約の設定ができる者には、最初に建物の専有部分の全部を所有する者や、当該建物を新たに区分所有建物とすることによってその全部を所有することになった者が想定されている。

3 本件規約の設定は相手方のない単独行為であり、かつ、その後に取得する区分所有者の、団体的な権利義務関係を規律することから、あらかじめその内容を明確にしておくために、公正証書によることが求められている。

4 本件規約に設定できる内容は、規約共用部分に関する定め、規約による建物の敷地に関する定め、専有部分と敷地利用権を分離処分できる旨の定め、各専有部分に係る敷地利用権の割合に関する定めに限られる。

【解答及び解説】

【問 38】 正解 1

1 誤り。規約共用部分は、その旨の登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができない。これは原始規約で規約共用部分を定める場合であっても同様である。
*区分所有法4条2項

2 正しい。最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、一定の事項を規約で設定することができる。これは区分所有建物として新規分譲するような場合だけでなく、既存の区分所有建物以外の建物を新たに区分所有建物とした場合であっても、そのときに専有部分の全部を所有することになった者も想定されている。
*区分所有法32条

3 正しい。最初に建物の専有部分の全部を所有する者が、一定の事項を規約で設定するには、公正証書によることが必要であるが、その理由としては、本肢の記述通りである。
*区分所有法32条

4 正しい。最初に建物の専有部分の全部を所有する者が、公正証書により、規約で設定することができる事項は、規約共用部分に関する定め、規約による建物の敷地に関する定め、専有部分と敷地利用権を分離処分できる旨の定め、各専有部分に係る敷地利用権の割合に関する定めに限定されている。
*区分所有法32条


【解法のポイント】この問題は、正解さえ出せればいいという考えであれば(もちろん受験生はそれでいいわけです。)、肢1が正解であることはすぐに分かったと思います。ただ、肢2というのは、その意味が分かりにくいという方が多かったのではないかと思います。解説文にあるように、区分所有建物というのは、最初から分譲マンション(区分所有建物)として建設し、分譲マンション(区分所有建物)として売り出すのが普通です。しかし、めったにありませんが、分譲マンションでない建物(区分所有建物以外)を「途中で」分譲マンションに変更することも可能です。この分譲マンション(区分所有建物)に変更する時点で「最初に」専有部分の全部を所有する者も、この公正証書による規約を設定できるという話です。肢3は、「公正証書」が要求されている理由が書かれており、「ナルホド、そういうことか」と勉強になる肢です(笑)。