下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 令和2年 問30

【動画解説】法律 辻説法

【問 30】 甲マンションの管理組合の総会の招集通知に関する次の記述のうち、区分所有法及び標準管理規約の定めによれば、最も適切なものはどれか。

1 甲マンションに現に居住していない区分所有者の相続人から、電話により当該区分所有者が死亡した旨の連絡があったので、当該相続人の住所、氏名を聞き、そこにあてて総会の招集通知を発送した。

2 組合員名簿によると妻が甲マンションの区分所有者となっていたが、管理費等の引落し口座は夫の名義になっているので、夫にあてて総会の招集通知を発送した。

3 甲マンションの区分所有者が、新たに購入した乙マンションの住所を、通知を受けるべき場所として届出をしてきたが、甲マンションの住戸にも毎日来ているので、甲マンションの住戸にあてて、甲マンションの総会の招集通知を発送した。

4 外国に長期間滞在する甲マンションの区分所有者から、購入当初より通知を受けるべき場所の届出がないので、規約の定めに従って、甲マンション内の見やすい場所にある掲示板に総会の招集通知を掲示した。

【解答及び解説】

【問 30】 正解 4

1 不適切。総会の招集通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかったときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。本肢では「相続人の住所、氏名を聞き」とあり、単に管理組合側から相続人の住所、氏名を聞いただけで、それが「通知を受けるべき場所を通知」しているとは認められないので、相続人の住所、氏名にあてて通知を発送することは適切とはいえない。結局、本肢では当該専有部分が所在する場所に通知することになる。なお、標準管理規約によると、新たに組合員の資格を取得し又は喪失した者は、直ちにその旨を「書面」により管理組合に届け出なければならない(標準管理規約31条)。電話による届出では不十分である。
*区分所有法35条3項

2 不適切。集会の招集の通知は、会議の目的たる事項を示して、各「区分所有者」に発しなければならない。たとえ、管理費等の引落し口座は夫の名義であっても、妻に対して招集通知を発送すべきである。
*区分所有法35条1項

3 不適切。総会の招集通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所にすれば足りる。たとえ、当該区分所有者が甲マンションの住戸にも毎日来ていたとしても、通知を受けるべき場所に通知しなければならない。
*区分所有法35条3項

4 適切。建物内に住所を有する区分所有者又は「総会の招集通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者」に対する通知は、規約に特別の定めがあるときは、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。したがって、「購入当初より通知を受けるべき場所の届出がない」区分所有者に対しては掲示の方法によって通知することは適切である。
*区分所有法35条4項


【解法のポイント】肢1の「当該相続人の住所、氏名を聞き」というのは、相続人の住所等を「どういう意味で」聞いたのか、私にははっきりしない感じがしてちょっと考えてしまいました。たとえば、「被」相続人が、自分の住所を招集通知を通知すべき場所として届け出ていたような場合には、相続人が管理組合から住所・氏名を「聞かれた」場合は、相続人が通知を受けるべき場所として答える可能性があると思いますし、普通、管理組合は通知先の意味も含めて住所・氏名を「聞く」と思います。不在区分所有者が、招集通知の通知先が「専有部分」でよいと考えることは、まずないと思われるからです。それとも、この問題は区分所有法だけでなく、「標準管理規約の定めによれば」ともなっているので、解説にも書いてある通り、組合員の資格の取得又は喪失は、書面での届出が必要で、電話での届出ではダメなんだということが言いたかったのでしょうか。いずれにしても肢4は確実に「適切」なので、肢4が「最も」適切であることは間違いなく、解答自体は問題がありませんが、紛らわしい問題だと思います。