下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
管理業務主任者 過去問解説 令和2年 問9
【問 9】 マンションの維持又は修繕に関する企画又は実施の調整の業務に関する次のア~エの記述のうち、標準管理委託契約書の定めによれば、適切なものはいくつあるか。
ア 管理業者は、管理組合の長期修繕計画における修繕積立金の額が著しく低額である場合若しくは設定額に対して実際の積立額が不足している場合又は管理事務を実施する上で把握した本マンションの劣化等の状況に基づき、当該計画の修繕工事の内容、実施予定時期、工事の概算費用若しくは修繕積立金の見直しが必要であると判断した場合には、書面をもって管理組合に助言する。
イ 管理業者は、長期修繕計画案の作成業務並びに建物・設備の劣化状況等を把握するための調査・診断の実施及びその結果に基づき行う当該計画の見直し業務を実施する場合は、本契約とは別個の契約とすることが望ましい。
ウ 管理業者は、管理組合が本マンションの維持又は修繕(大規模修繕を除く修繕又は保守点検等。)を外注により管理業者以外の業者に行わせる場合には、見積書の受理、管理組合と受注業者との取次ぎ、実施の確認を行う。
エ 「大規模修繕」とは、建物の全体又は複数の部位について、修繕積立金を充当して行う計画的な修繕又は特別な事情により必要となる修繕等をいう。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
【解答及び解説】
【解法のポイント】この問題は、合格発表前の各受験機関の解答速報では、イの正誤をめぐって、正解を肢3とするか、肢4とするかで判断が分かれていました。しかし、合格発表時の正解番号の公表で、正解は「肢4」であるとされました。「別個の契約にすることが望ましい」(問題文)→「別個の契約とする」(標準管理委託契約書)が「適切」か「不適切」かが争点でした。これについては、標準管理委託契約書の条文を正確に覚えていた人ほど、正誤の判断に迷ったと思います。しかも「個数問題」です。その意味では、紛らわしい問題でした。本サイトでは当初正解は肢3としていましたので、訂正いたします(2021.1.25)。念のため、当初の本サイトの説明も以下に残しておきます。
【当初の説明】
この問題は、合格発表前の解答速報段階の現時点(2020.12.10)では、各受験指導機関で正解が肢3と肢4に分かれています。これは、合格発表時に正解番号が公表されるまでは分かりませんので、何ともいえませんが、一応当学院の「見解」を参考までに書いておきます。
肢3と肢4で正解が分かれているのは、選択肢イの扱いによるものだと思われます。
標準管理委託契約書によりますと、「計画の見直し業務」は、「別個の契約とする」としていますので、「別個の契約」の一択です。しかし、問題文によりますと、「別個の契約にすることが望ましい」とされています。これは、別個の契約とすることも、しないことも、どちらも可能であるが、別個の契約とすることが「望ましい」という意味だと考えられます。このような表現は、標準管理規約のコメントなどでもよく出てくると思います。
また、他の選択肢では、標準管理委託契約書の文言通り、「助言する」とか「確認を行う」とか、言い切っているわけですから、イで標準管理委託契約書の文言を変更している以上、出題者に何らかの意図があったと思います。イを適切な文章として出題するのであれば、「別個の契約とする」と言い切ればいいだけです。
したがって、この問題文について「適切」か「不適切」か、どちらかに決めよ!と言われると、「不適切」と言わざるを得ないのではないかと思います。
【参考類題】管理業務主任者 平成22年 問9 肢イ
【問 9】 正解 4
ア 適切。管理業者は、管理組合の長期修繕計画における修繕積立金の額が著しく低額である場合若しくは設定額に対して実際の積立額が不足している場合又は管理事務を実施する上で把握した本マンションの劣化等の状況に基づき、当該計画の修繕工事の内容、実施予定時期、工事の概算費用若しくは修繕積立金の見直しが必要であると判断した場合には、書面をもって管理組合に助言する。
*標準管理委託契約書 別表第一 1(3)一
イ 適切。管理業者は、長期修繕計画案の作成業務並びに建物・設備の劣化状況等を把握するための調査・診断の実施及びその結果に基づき行う当該計画の見直し業務を実施する場合は、本契約とは別個の契約とするとされている。
*標準管理委託契約書 別表第一 1(3)一
ウ 適切。管理業者は、管理組合が本マンションの維持又は修繕(大規模修繕を除く修繕又は保守点検等。)を外注により管理業者以外の業者に行わせる場合には、見積書の受理、管理組合と受注業者との取次ぎ、実施の確認を行う。
*標準管理委託契約書 別表第一 1(3)二
エ 適切。「大規模修繕」とは、建物の全体又は複数の部位について、修繕積立金を充当して行う計画的な修繕又は特別な事情により必要となる修繕等をいう。
*標準管理委託契約書 別表第1 1(3)関係コメント④
以上より、適切なものはア~エの4つすべてであり、肢4が正解となる。【解法のポイント】この問題は、合格発表前の各受験機関の解答速報では、イの正誤をめぐって、正解を肢3とするか、肢4とするかで判断が分かれていました。しかし、合格発表時の正解番号の公表で、正解は「肢4」であるとされました。「別個の契約にすることが望ましい」(問題文)→「別個の契約とする」(標準管理委託契約書)が「適切」か「不適切」かが争点でした。これについては、標準管理委託契約書の条文を正確に覚えていた人ほど、正誤の判断に迷ったと思います。しかも「個数問題」です。その意味では、紛らわしい問題でした。本サイトでは当初正解は肢3としていましたので、訂正いたします(2021.1.25)。念のため、当初の本サイトの説明も以下に残しておきます。
【当初の説明】
この問題は、合格発表前の解答速報段階の現時点(2020.12.10)では、各受験指導機関で正解が肢3と肢4に分かれています。これは、合格発表時に正解番号が公表されるまでは分かりませんので、何ともいえませんが、一応当学院の「見解」を参考までに書いておきます。
肢3と肢4で正解が分かれているのは、選択肢イの扱いによるものだと思われます。
標準管理委託契約書によりますと、「計画の見直し業務」は、「別個の契約とする」としていますので、「別個の契約」の一択です。しかし、問題文によりますと、「別個の契約にすることが望ましい」とされています。これは、別個の契約とすることも、しないことも、どちらも可能であるが、別個の契約とすることが「望ましい」という意味だと考えられます。このような表現は、標準管理規約のコメントなどでもよく出てくると思います。
また、他の選択肢では、標準管理委託契約書の文言通り、「助言する」とか「確認を行う」とか、言い切っているわけですから、イで標準管理委託契約書の文言を変更している以上、出題者に何らかの意図があったと思います。イを適切な文章として出題するのであれば、「別個の契約とする」と言い切ればいいだけです。
したがって、この問題文について「適切」か「不適切」か、どちらかに決めよ!と言われると、「不適切」と言わざるを得ないのではないかと思います。
【参考類題】管理業務主任者 平成22年 問9 肢イ