下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 令和元年 問11

【動画解説】法律 辻説法

【問 11】 マンションの管理費の支払債務の時効の完成猶予及び更新に関する次のア~エの記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 管理費の滞納者が死亡した場合においては、時効の完成は猶予される。

イ 管理費の滞納者が破産手続開始の決定を受けた場合においては、その破産手続開始決定の時に時効の完成が猶予される。

ウ 管理費の滞納者に対して内容証明郵便による催告をしても、催告後6箇月以内に裁判上の請求などをした上で、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときでなければ時効は更新されない。

エ 管理費の滞納者が、滞納している事実を認める旨の承認書を管理組合に提出した場合においては、その承認書が公正証書によるものでなくても、時効は更新される。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【解答及び解説】

【問 11】 正解 2

ア 誤り。時効の完成猶予事由は、裁判上の請求、強制執行、仮差押え、催告等であり、債務者の死亡というのは時効の完成猶予事由ではない。
*民法147条等

イ 誤り。管理費の滞納者が破産手続開始の決定を受けた場合、その破産手続開始決定の時に時効が中断するのではなく、破産債権者が、破産手続に参加したときに時効の完成が猶予される。
*民法147条1項4号

ウ 正しい。催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効の完成が猶予されるだけで、催告後6箇月以内に裁判上の請求などをした上で、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときでなければ時効は更新されない。
*民法147条等

エ 正しい。管理費の滞納者が、滞納している事実を認める旨の承認書を管理組合に提出することは、時効の更新事由の一つである承認になり、承認は公正証書であることは要求されていないので、時効は更新する。
*民法152条


以上より、正しいものは、ウとエの二つであり、正解は肢2となる。


【解法のポイント】個数問題ですから、この問題のポイントは、肢イになると思いますが、過去問に出題されています。