下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 令和元年 問6

【動画解説】法律 辻説法

【問 6】 同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 AB間の売買契約を、売主Aが、買主Bの詐欺を理由として取り消した場合においては、Aの原状回復義務とBの原状回復義務とは同時履行の関係に立たない。

2 AB間の建物の賃貸借契約が期間の満了により終了する場合において、それに伴う賃貸人Aの敷金返還債務と賃借人Bの建物明渡債務とは、特別の約定のない限り、同時履行の関係に立たない。

3 AB間の借地契約の終了に伴い、賃貸人Aに対して賃借人Bの建物買取請求権が行使された場合においては、その土地の賃貸人Aの建物代金債務と賃借人Bの建物土地明渡債務とは、同時履行の関係に立つ。

4 AB間の金銭消費貸借契約にかかる担保のために、債権者Aに対して債務者Bが、自己所有の土地に抵当権を設定した場合においては、Aの抵当権設定登記の抹消義務とBの債務の弁済とは、同時履行の関係に立たない。

【解答及び解説】

【問 6】 正解 1

1 誤り。売買契約が取り消された場合の当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係に立つ。
*民法533条

2 正しい。敷金返還債務と建物の明渡債務は、建物明渡債務が先履行であり、同時履行の関係に立たない。
*民法622条の2第1項第1号

3 正しい。借地契約の終了に伴い建物買取請求権が行使された場合は、土地の賃貸人と賃借人の間に売買契約が成立したことになるので、建物の代金債務と土地明渡債務は同時履行の関係に立つ。
*民法533条

4 正しい。被担保債権の弁済と抵当権の設定登記の抹消の関係は、被担保債権の弁済が先履行とされており、両者は同時履行の関係に立たない。
*民法533条参照


【解法のポイント】この問題も、単純に条文の問題ではなく、判例等により認められているものであり、なかなか難しかったと思います。今年は、民法は全体的に難しかったと思います。