下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成29年 問39

【動画解説】法律 辻説法

【問 39】 次の文章は、団地内の区分所有建物の建替えに関する事件についての最高裁判所の判決の一部である。その文中の(ア)~(エ)に入るべき語句の組み合わせとして正しいものはどれか。なお、文中の「同法」は、「建物の区分所有等に関する法律」をいう。
「同法70条1項は、団地内の各建物の区分所有者及び議決権の各(ア)以上の賛成があれば、団地内区分所有者及び議決権の各(イ)以上の多数の賛成で団地内全建物一括建替えの決議ができるものとしているが、団地内全建物一括建替えは、団地全体として計画的に良好かつ安全な住環境を確保し、その敷地全体の効率的かつ一体的な利用を図ろうとするものであるところ、・・・(略)・・・、団地全体では同法62条1項の議決要件と同一の議決要件を定め、各建物単位では区分所有者の数及び議決権数の過半数を相当超える議決要件を定めているのであり、同法70条1項の定めは、なお合理性を失うものではないというべきである。また、団地内全建物一括建替えの場合、1棟建替えの場合と同じく、・・・(略)・・・、建替えに参加しない区分所有者は、(ウ)ことにより、区分所有権及び敷地利用権を(エ)こととされているのであり(同法70条4項、63条4項)、その経済的損失については相応の手当がされているというべきである。」


【解答及び解説】

【問 39】 正解 2

本問の判決原文は、以下のようになっている。
同法70条1項は、団地内の各建物の区分所有者及び議決権の各(ア=3分の2)以上の賛成があれば、団地内区分所有者及び議決権の各(イ=5分の4)以上の多数の賛成で団地内全建物一括建替えの決議ができるものとしているが、団地内全建物一括建替えは、団地全体として計画的に良好かつ安全な住環境を確保し、その敷地全体の効率的かつ一体的な利用を図ろうとするものであるところ、区分所有権の上記性質にかんがみると、団地全体では同法62条1項の議決要件と同一の議決要件を定め、各建物単位では区分所有者の数及び議決権数の過半数を相当超える議決要件を定めているのであり、同法70条1項の定めは、なお合理性を失うものではないというべきである。また、団地内全建物一括建替えの場合、1棟建替えの場合と同じく、上記のとおり、建替えに参加しない区分所有者は、(ウ=売渡請求権の行使を受ける)ことにより、区分所有権及び敷地利用権を(エ=時価で売り渡す)こととされているのであり(同法70条4項、63条4項)、その経済的損失については相応の手当がされているというべきである。(最判平成21年4月23日)
以上より、ア=3分の2、イ=5分の4、ウ=売渡請求権の行使を受ける、エ=時価で売り渡す、となり、正解は肢2となる。


【解法のポイント】本問は、判例に関する問題ですが、正確な条文の知識があれば、判例を知っている必要は全然ありません。問題の形式に惑わされることなく、落ち着いて解答して下さい。