下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
管理業務主任者 過去問解説 平成29年 問11
【問 11】 マンションの管理組合が区分所有者に対して有する管理費支払請求権の消滅時効の完成猶予及び更新に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 支払督促は、所定の期間内に仮執行の宣言の申立てをしないことによりその効力を失うときは、時効の更新の効力を生じない。
2 民事調停が調わないときは、その終了の時から1箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
3 管理費を滞納している区分所有者が、滞納の事実を認める承認書を管理組合の管理者あてに提出したときは、管理費支払請求権の時効が更新される。
4 管理組合の管理者が死亡し、後任の管理者が決まらなかったとしても、管理費支払請求権の時効の完成は猶予されない。
【解答及び解説】
【問 11】 正解 2
1 正しい。債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から30日以内にその申立てをしないときは、支払督促は、その効力を失う(民事訴訟法392条)。そして、このように確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定しなかったときは、時効の更新の効力は生じない。
*民法147条2項
2 誤り。民事調停は、時効の完成猶予事由の一つであるが、それが確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなく終了した場合にあっては、その終了の時から「6箇月」を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
*民法147条1項
3 正しい。滞納の事実を認める承認書を管理組合の管理者あてに提出することは、権利の承認にあたり、管理費支払請求権の時効は更新される。
*民法152条1項
4 正しい。管理組合の管理者が死亡し、後任の管理者が決まらなかったことは、時効の完成猶予事由のどれにも該当せず、管理費支払請求権の時効の完成は猶予されない。
*民法147条等
【解法のポイント】肢2は、非常に細かい点を問うてきました。消去法で解答するしかなかったのではないかと思います。