下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
管理業務主任者 過去問解説 平成29年 問6
【問 6】 AとBが、Bを受任者とする委任契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Bは、Aの承諾がなければ、受任者たる地位を第三者に譲渡することができない。
2 Bが後見開始又は保佐開始の審判を受けた場合、AB間の委任契約は終了する。
3 Bが、委任事務の処理に際して、自己の過失によらず損害を受けた場合であっても、Aの指図について過失がなければ、Bは、Aに対し損害賠償の請求をすることができない。
4 Bが無償で受任した場合は、Bが委任事務の処理に際して善管注意義務に違反したときであっても、Bは、Aに対し債務不履行責任を負わない。
【解答及び解説】
【問 6】 正解 1
1 正しい。委任契約は、当事者の信頼関係を基礎とする契約であり、委任者の承諾がなければ、受任者たる地位を第三者に譲渡することができない。
*民法643条
2 誤り。委任は、受任者が後見開始の審判を受けたことによって終了するが、受任者が保佐開始の審判を受けたとしても終了しない。
*民法653条3号
3 誤り。受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。この損害賠償責任は、委任者の無過失責任とされており、委任者の指図について過失がない場合でも同様である。
*民法650条3項
4 誤り。受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。これについて委任契約が有償であるか、無償であるかを区別しておらず、無償の委任契約でも受任者は善管注意義務を負い、これに違反すれば債務不履行責任を負う。
*民法644条
【解法のポイント】今年の管理業務主任者の法律系の問題は、基本的なものが多かったと思います。本問も、肢3はちょっと難しかったですが、他は基本的なものでした。