下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成28年 問41

【動画解説】法律 辻説法

【問 41】 宅地建物取引業者(宅地建物取引業法第2条第3号に規定する者をいう。以下同じ。)である売主A(以下、本問において「A」という。)が、宅地建物取引業者でない買主B(以下、本問において「B」という。)にマンションの一住戸甲(以下、本問において「甲」という。)を売却した場合におけるAの契約不適合責任に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 甲の売買契約の特約で、Aが、契約不適合責任に関し、BがAに対して契約不適合を通知すべき期間について、引渡しの日から1年間と定めたとしても、Bは契約不適合を知った日から1年以内にその旨をAに通知すれば、Aに対し契約不適合責任を追及することができる。

2 甲の売買契約締結時に、Bのみが知っていた甲の契約不適合について、BはAに対し契約不適合責任を追及することはできない。

3 甲の契約不適合の原因について、Aに故意も過失もないときは、BはAに対し損害賠償請求を除く契約不適合責任を追及することができない。

4 甲の売買契約の特約において、Aは、契約不適合を原因とする損害賠償責任を負わない代わりに、甲の引渡しの日から5年間、契約不適合の修補を行う旨の定めは有効である。

【解答及び解説】

【問 41】 正解 1

1 正しい。宅地建物取引業者が自ら売主となり、買主が宅地建物取引業者でない売買契約において、契約不適合責任に関し、買主が売主に対して契約不適合を通知すべき期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。したがって、買主が売主に対して契約不適合を通知すべき期間について、引渡しの日から1年間とする特約は無効であるから、特約がない状態となり、民法の原則に戻り、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知すれば、売主は契約不適合責任を負わなければならない。
*宅建業法40条

2 誤り。契約不適合責任を追及するには、買主の善意・悪意は問わないので、買主が契約不適合の存在を知っていたとしても、契約不適合責任を追及することができる。
*宅建業法40条

3 誤り。損害賠償請求を除く契約不適合責任は売主の無過失責任であり、Aに故意も過失もなかったとしても、Aは契約不適合責任を負う必要がある。
*宅建業法40条

4 誤り。宅地建物取引業者が自ら売主となり、買主が宅地建物取引業者でない売買契約において、瑕疵担保責任に関し、原則として民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。民法では契約不適合責任の追及方法として、追完請求(修補請求を含む)、代金減額請求、損害賠償及び解除を定めており、売主が損害賠償請求を負わないというのは、買主に不利な特約であり、無効である。
*宅建業法40条


【解法のポイント】宅地建物取引業法は、毎年1~2問程度出題されます。その中でも、本問の契約不適合責任と重要事項の説明(特にマンション関係)を中心に問われます。十分に準備しておいて下さい。本問は基本的な問題だったと思います。