下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成28年 問37

【動画解説】法律 辻説法

【問 37】 管理者でない区分所有者Aが、単独で行使できる裁判上の請求に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、請求が認められないものの組み合わせはどれか。ただし、規約又は集会の決議による請求権者や請求方法についての定めはないものとする。

ア 区分所有者Bが、自らが所有する住戸の共用廊下側の窓を改造して出入口を作っていたところ、管理者が黙認し、放置状態にあるので、共用部分の共有持分権に基づく保存行為として、同改造部分の原状回復を請求すること

イ マンション管理業者がずさんな管理を続けているところ、管理者が黙認し、放置状態にあるので、管理委託契約の準共有持分権に基づく保存行為として、当該管理業者との契約の解除を請求すること

ウ 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるので、管理者の解任を請求すること

エ 区分所有者Cが、自ら専有部分を暴力団事務所として利用し、他の方法によってはその障害を除去することが困難であるため、当該専有部分の競売を請求すること

1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・エ
4 ウ・エ
【解答及び解説】

【問 37】 正解 3

ア 認められる。共有物の保存行為は、各共有者がすることができるので、Aは単独で改造部分の原状回復を請求することができる。
*民法252条5項

イ 認められない。管理委託契約は、管理組合とマンション管理業者との契約であるから、区分所有者が単独で管理業者との契約の解除を請求することはできない。

ウ 認められる。管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、「各」区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。したがって、Aは単独で管理者の解任の請求をすることができる。
*区分所有法25条2項

エ 認められない。区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の「全員」又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもって、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。したがって、Aは単独では競売の請求をすることはできない。
*区分所有法59条1項


以上より、区分所有者Aが、単独で行使できる裁判上の請求として認められないものは、イ及びエであり、肢3が正解となる。


【解法のポイント】本問のような「組合せ問題」は、自分で自信のあるものから選択肢を絞り込んでいって下さい。そうすれば、「個数問題」ほど難しくはありません。