下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
管理業務主任者 過去問解説 平成28年 問34
【問 34】 マンションの専有部分及び専用使用権に関する次の記述のうち、区分所有法、標準管理規約及び判例によれば、最も不適切なものはどれか。
1 専有部分とは、一棟の建物に構造上区分され、かつ、住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に独立して供することができるように利用上区分された、区分所有権の目的である建物の部分である。
2 地下に設けられた駐車場部分は、必ずしも周囲すべてが完全に遮蔽されていなくても、構造上、利用上の独立性を備えている場合には、専有部分として登記して分譲することができる。
3 専用使用権とは、敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者が排他的に使用できる権利であり、専用使用権の対象となっている当該部分を専用使用部分という。
4 敷地に、特定の区分所有者に対して無償の駐車場専用使用権が規約に基づいて設けられていた場合、後に、当該駐車場部分の使用を有償化する決議をするには、必ず当該専用使用権者の承諾を得なければならない。
【解答及び解説】
【問 34】 正解 4
1 適切。専有部分とは、一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものである。
*区分所有法1条
2 適切。専有部分となるためには、構造上の独立性と利用上の独立性があればよく、建物の構成部分である隔壁等により他の専有部分又は共用部分から独立した物的支配に適する程度に遮蔽され、その範囲が明確であれば、必ずしも周囲すべてが完全に遮断されていることを要しない(判例)。
*区分所有法1条
3 適切。専用使用権とは、敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者が排他的に使用できる権利をいう。また、専用使用部分とは、専用使用権の対象となっている敷地及び共用部分等の部分をいう。
*標準管理規約2条8号・9号
4 不適切。区分所有者が専用使用権を有するマンション駐車場の使用料を増額する規約の設定、変更等は、増額の必要性及び合理性が認められ、かつ、増額された使用料が当該区分所有関係において社会通念上相当な額であると認められる場合には、専用使用権者の権利に区分所有法31条1項後段にいう「特別の影響」を及ぼすものではない(最判平成10年10月30日)。したがって、無償の駐車場専用使用権に対して当該駐車場部分の使用を有償化する決議をした場合、それが社会通念上相当な額であるときは当該専用使用権者の承諾を得る必要はない。
*区分所有法31条1項
【解法のポイント】肢1~3までは非常に基本的な問題です。肢4は判例の問題ですが、この「特別の影響」というのも、よく問われる範囲です。