下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成27年 問40

【動画解説】法律 辻説法

【問 40】 マンションの分譲業者が買主に対して特約として行うアフターサービスと、売主の契約不適合責任についての民法及び宅地建物取引業法の規定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 宅地建物取引業者である売主が、宅地建物取引業者でない買主に新築マンションの住戸を売却する場合において、アフターサービスの期間を引渡しの日から3年間と定めた場合は、売主は契約不適合責任を負わない旨の特約をすることができる。

2 アフターサービスの対象となる部位は、住戸内の内装や各種の設備に限られ、構造耐力上主要な部分及び雨水の侵入を防止する部分は含まれないことが多い。

3 宅地建物取引業者である売主が、宅地建物取引業者でない買主に新築マンションの住戸を売却する場合において、「契約不適合責任に関し、買主が売主に対して契約不適合を通知すべき期間について、当該住戸を引き渡した日から1年以内とする」旨の特約をしても、当該特約は無効である。

4 民法では、売主の契約不適合責任の内容として、修補が可能な場合には修補、修補ができない場合には当該契約不適合に対する損害賠償、契約不適合のために契約目的を達成することができないときには契約の解除が定められている。

【解答及び解説】

【問 40】 正解 3

1 不適切。宅地建物取引業者が自ら売主で、買主が宅地建物取引業者でない場合は、契約不適合責任を追及するための通知の期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。そして、アフターサービスと契約不適合責任は別のものなので、アフターサービスの期間を引渡しの日から3年間と定めたからといって、契約不適合責任を負わない旨の特約ができるようになるわけではない。
*宅建業法40条

2 不適切。アフターサービスの対象となる部位は、住戸内の内装や各種の設備に限らず、構造耐力上主要な部分及び雨水の侵入を防止する部分も含まれることが多い。

3 適切。宅地建物取引業者が自ら売主で、買主が宅地建物取引業者でない場合は、契約不適合責任に関し、買主が売主に対して契約不適合を通知すべき期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。したがって、「契約不適合責任に関し、買主が売主に対して契約不適合を通知すべき期間について、当該住戸を引き渡した日から1年以内とする」旨の特約は無効となり、民法の規定に戻って、買主が契約不適合を発見した時から1年以内にその旨を通知すれば、売主は契約不適合責任を負うことになる。
*宅建業法40条

4 不適切。民法では、契約不適合責任の追及方法である追完請求の一つとして修補請求というのも認められているが、修補が可能であっても、解除又は損害賠償を請求することはできる。また、契約の解除は、「契約不適合のために契約目的を達成することができないとき」に限られず、「債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微」でなければ解除することができる。
*民法562~564条


【解法のポイント】この問題は、基本的なものでした。