下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成27年 問37

【動画解説】法律 辻説法

【問 37】 計画修繕を怠っていたために、マンションの外壁が老朽化により落下して通行人に大けがをさせた場合の損害賠償責任について、当該マンションの理事会における各理事の意見のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 理事A「当組合は管理組合法人なので、まずは、管理組合法人の財産によって損害賠償をしなければなりません。」

2 理事B「管理組合法人の財産には、各区分所有者の共有に属する建物の共用部分、付属施設、付属建物、敷地等の他、管理組合法人名義で有する不動産、動産、金銭、権利一切が含まれることになります。」

3 理事C「もし、管理組合法人の財産でまかなえない場合、その残債務については、全区分所有者で負うことになります。」

4 理事D「ただし、C理事の言われる残債務は金銭債務であるため、原則として、各区分所有者の共用部分の持分の割合に応じて、分割された債務となり、各区分所有者はその分割された範囲で無限責任を負うことになります。」

【解答及び解説】

【問 37】 正解 2

1 正しい。管理組合法人の債務は、まず管理組合法人の財産をもってその債務を弁済する必要がある。
*区分所有法53条1項

2 誤り。管理組合法人名義で有する不動産、動産、金銭、権利一切は、管理組合法人の財産となるが、建物の共用部分、付属施設、付属建物、敷地は、各区分所有者の共有であり、各区分所有者の財産である。

3 正しい。管理組合法人の財産をもってその債務を完済することができないときは、区分所有者は、共用部分の持分割合と同一の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる。
*区分所有法53条1項

4 正しい。管理組合法人の財産をもってその債務を完済することができないときは、区分所有者は、共用部分の持分割合と同一の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる。損害賠償債務は金銭債務なので、各区分所有者が分割された範囲で無限責任を負う。
*区分所有法53条1項


【解法のポイント】この問題の肢2と肢4は、なかなか難しい問題だったと思います。迷った人もいたのではないでしょうか。ただ、幸いにも「各区分所有者の共有に属する」(肢2)、「金銭債務」(肢4)と問題文の中に、解答のヒントが隠されていました。