下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成27年 問29

【動画解説】法律 辻説法

【問 29】 共用部分の管理、変更又は規約の変更における特別の影響に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、最も不適切なものはどれか。

1 1住戸1議決権の定めを1区分所有者1議決権とする規約に変更する場合、2住戸以上を所有する区分所有者がいるときは、その区分所有者の承諾が必要である。

2 101号室前の敷地に防災用倉庫を新設するには、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議が必要であり、さらに工事期間中の騒音が101号室に及ぶ場合には、その影響の程度にかかわらず、その区分所有者の承諾が必要である。

3 101号室前の共用廊下に管理組合の掲示板を設置するには、区分所有者及び議決権の各過半数の集会の決議で足り、101号室の使用に影響が生じないときは、その区分所有者の承諾は不要である。

4 共用部分の変更に関する決議要件のうち、区分所有者の定数を4分の3以上から過半数とする規約に変更するには、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議が必要であるが、この場合、2住戸以上を所有する区分所有者がいるときでも、その区分所有者の承諾を得る必要はない。

【解答及び解説】

【問 29】 正解 2

1 適切。規約の設定、変更又は廃止において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この「特別の影響」とは、規約の設定・変更等の必要性及び合理性とこれにより受ける当該区分所有者の不利益と比較衡量して、当該区分所有者が受忍すべき程度を超える不利益を受けると認められる場合かどうかで決まる(判例)。今まで2住戸以上を所有し、2議決権以上を有していた者が、それを失うことは「特別の影響」を受けると考えられる。
*区分所有法31条1項

2 不適切。101号室前の敷地に防災用倉庫を新設することは、敷地の重大変更に該当し、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議が必要であるが(区分所有法21条)、この変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。そして、工事期間中の騒音が軽微なもので受忍限度の範囲内であるならば、101号室の区分所有者の承諾は不要である。
*区分所有法17条2項

3 適切。共用廊下に管理組合の掲示板を設置するのは、共用部分の管理にあたり、区分所有者及び議決権の各過半数の集会の決議で足り、この管理においても専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。ただ、101号室の使用に影響が生じないときは、その区分所有者の承諾は不要である。
*区分所有法18条3項

4 適切。共用部分の変更に関する決議要件のうち、区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。そして、2住戸以上を所有する区分所有者は、もともと一人の区分所有者としてしかカウントされないので、特別の影響を受けるとは考えられないので、その区分所有者の承諾を得る必要はない。
*区分所有法31条1項


【解法のポイント】この問題は、「特別の影響」を問う問題でしたが、それほど判断に迷うような問題ではなかったかと思います。