下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成27年 問10

【動画解説】法律 辻説法

【問 10】 マンション管理費の支払債務の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理費の支払債務は、区分所有者が支払期の到来したことを知らなくても、その支払期が到来した時から時効が進行する。

2 マンションの区分所有者全員が、「管理費債務の消滅時効の主張はしない」旨の文書をあらかじめ管理組合に提出している場合、各区分所有者は時効を主張することができない。

3 管理費の滞納者が死亡し、その相続人が当該区分所有権を承継した場合は、管理費債務の時効は、その承継により完成が猶予される。

4 管理費の滞納者が、破産手続開始決定を受けた場合は、その決定により時効の完成が猶予される。

【解答及び解説】

【問 10】 正解 1

1 正しい。滞納管理費に係る債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、又は権利を行使することができる時から10年間行使しないときは、時効によって消滅する。したがって、10年の時効期間の方は、区分所有者が支払期の到来したことを知らなくても、その支払期が到来した時から時効が進行する。
*民法166条1項

2 誤り。「管理費債務の消滅時効の主張はしない」というのは、時効の利益の放棄になるが、時効の利益は、あらかじめ放棄することができないので、本肢の文書があっても、各区分所有者は時効を主張することができる。
*民法146条

3 誤り。時効の完成猶予事由は、裁判上の請求、支払督促、強制執行等であり、債務者が死亡して相続があっても、時効の完成は猶予されない。
*民法147条等

4 誤り。管理費の滞納者が破産手続開始の決定を受けた場合、その破産手続開始決定の時に時効の完成が猶予されるのではなく、破産債権者が、裁判所が定める期間内に破産の配当に加入するために債権の届出を行い破産手続に参加した時に、時効の完成猶予の効力が生ずる。
*民法147条1項4号


【解法のポイント】今年の問題は、最初は難しい問題が続いたと思いますが、この問題は簡単でした。