下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成27年 問1

【動画解説】法律 辻説法

【問 1】 マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号。以下、本試験問題において「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号に規定するものをいう。以下、本試験問題において同じ。)の管理組合A(以下、本問において「A」という。)の管理者B(以下、本問において「B」という。)が、その職務に関し、C会社(以下、本問において「C」という。)との間で取引行為をした場合に関する次の記述のうち、民法(明治29年法律第89号)、建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下、本試験問題において「区分所有法」という。)の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Bが、Aのためにすることを示さないでした意思表示は、Cが、BがAのためにすることを知っていたときでも、Bがした意思表示の効果はAに帰属することはない。

2 Bが、自己の利益を図るために職務の範囲内の行為をした場合には、Cがそのことを知ることができたときでも、Bがした行為の結果はAに帰属する。

3 Bは、Bの職務に関しその代理権に加えられた制限について、その制限を知らなかったCに対抗することができない。

4 Bが、職務の範囲外の行為をした場合において、Cが、Bの職務の範囲外であることを知ることができたときでも、CはBがした行為の結果をAに主張することができる。

【解答及び解説】

【問 1】 正解 3

1 誤り。BはAの代理人であるが(区分所有法26条2項)、代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、本人に対して直接にその効力を生ずる。
*民法100条

2 誤り。代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。したがって、Bがした行為の結果はAに帰属しない。
*民法107条

3 正しい。管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
*区分所有法26条3項

4 誤り。BはAの代理人であるが(区分所有法26条2項)、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときは、本人は代理人が相手方との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、代理人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
*民法110条


【解法のポイント】肢2は、以前は「難しい判例」という感じの問題でしたが、令和2年の法改正で条文に規定されましたので、「条文」の問題として、今後はよく出題されるようになると思います。