下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
平成26年 管理業務主任者 本試験 【問 10】

【動画解説】法律 辻説法

【問 10】 マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下、「区分所有法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 区分所有者が管理費を支払うべき期日に支払わなかった場合、規約に遅延損害金に関する定めがなくても、当該区分所有者に対し、法定利率の割合による遅延損害金を請求することができる。

2 管理費を滞納している区分所有者から、マンションの専有部分を購入した者が、売買契約に際して、当該滞納者から「管理費の滞納分はない」旨を告げられ、それを信ずるについて過失がない場合でも、滞納管理費の支払義務を負う。

3 管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、共同相続人のうち当該滞納者の区分所有権を相続する者が確定するまでは、管理組合は滞納管理費の請求をすることができない。

4 管理費を滞納している区分所有者に対して内容証明郵便による催告を行い、その催告後6箇月以内に再び内容証明郵便による催告を行ったとしても、時効の完成猶予の効力を維持することはできない。

【解答及び解説】

【問 10】 正解 3

1 正しい。管理費は金銭債権であり、金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によることとなる。
*民法419条1項

2 正しい。管理費に関する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。これは、特定承継人が管理費の滞納がないことについて善意無過失であっても同様である。
*区分所有法8条

3 誤り。相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。しかし、管理費のような可分債務については、共同相続人は相続分に応じて分割されたものを相続する。したがって、区分所有権を相続する者が確定するまでの間であっても、管理組合は、共同相続人に相続分に応じた額を請求することができる。
*民法898条

4 正しい。催告があったときは、その時から6ヶ月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。ただ、催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、時効の完成猶予の効力を有しない。したがって、6箇月ごとに催告を繰り返しても、時効の完成猶予の効力を維持することはできない。
*民法150条2項


【解法のポイント】管理費の「滞納」に関する問題は、毎年必ず出題されますが、この問題は定番の問題ですから、しっかり正解を出して下さい。