下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
平成26年 管理業務主任者 本試験 【問 4】

【動画解説】法律 辻説法

【問 4】 マンションの管理組合A(以下、本問において「A」という。)は、B会社(以下、本問において「B」という。)との間で、Bが、当該マンションの屋上に広告塔を設置して使用し、その対価として毎月5万円の賃料(以下、本問において「本件賃料」という。)をAに支払う旨の契約(以下、本問において「本件契約」という。)を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているもののみの組合せはどれか。

ア 本件契約は、土地や建物内の住戸の使用を目的とするものではなく、建物の一部である屋上部分の使用を目的とするものであるので、使用貸借である。

イ 本件賃料を第三者Cが支払う旨の契約は、AとCの間のみで締結することはできず、A・B・Cの三者間において締結されなければならない。

ウ 本件賃料を第三者Cも重畳的に負担する旨の契約は、Bの意思に反しても、AとCの間のみの契約で締結することができる。

エ AのBに対する本件賃料債権は、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。

1 ア・イ
2 ア・エ
3 イ・ウ
4 ウ・エ

【解答及び解説】

【問 4】 正解 1

ア 誤り。使用貸借は、当事者の一方が「無償」で使用及び収益をすることを目的としたものであり、本問では賃料を支払っているので、賃貸借である。
*民法601条

イ 誤り。本肢の賃料を第三者Cが支払う旨の契約は、免責的債務引受ということになるが、免責的債務引受は、債権者(A)と引受人(C)となる者との契約によってすることができる。なお、この免責的債務引受は、債権者が債務者(B)に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる。
*民法472条2項

ウ 正しい。本肢の賃料を第三者Cも重畳的に負担する旨の契約は、併存的債務引受というが、併存的債務引受は、債権者(A)と引受人(C)となる者との契約によってすることができる。
*民法470条2項

エ 正しい。債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。本肢のような契約に基づく債権は、債権者は弁済期を知っているはずなので、5年で時効消滅する。
*民法166条1項

以上より、誤っているものは、アとイであり、正解は肢1となる。


【解法のポイント】本問は、アが簡単で、イとウは難しかったので、エが正解の決め手かなと思います。エが「正しい」と分かれば、正解は肢1に絞られます。エは管理費とともに再度の出題が予想されますので、これを機会にしっかり覚えておいて下さい。