下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成25年 問40

【動画解説】法律 辻説法

【問 40】 宅地建物取引業者A(以下、本問において「A」という。)が、宅地建物取引業者でないB(以下、本問において「B」という。)に対し、中古マンションを売却した場合における契約不適合責任についての特約に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定によれば、有効なものはいくつあるか。

ア 「売主Aは、買主Bが売買契約締結の日から2年以内に契約不適合を売主に通知すれば、契約不適合責任を負う」旨の特約

イ 「契約不適合がある場合、買主Bは損害賠償請求と修補請求をすることができるが、いかなる場合でも契約の解除はできない」旨の特約

ウ 「売主Aは、買主Bが売買契約締結当時に知っていた契約不適合については、その責任を負わない」旨の特約

エ 「売主Aは、その契約不適合についてAに何らの過失もない場合は、その責任を負わない」旨の特約

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【解答及び解説】

【問 40】 正解 なし

ア 無効。宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、契約不適合責任に関し、原則として民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならないが、買主が売主に対して契約不適合を通知すべき期間についてその目的物の「引渡し」の日から2年以上となる特約は認められる。ただ、「売買契約締結」の日から2年という特約は無効である。
*宅建業法40条

イ 無効。宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、原則として民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。民法では、契約不適合責任の追及方法の一つとして、買主に契約の解除権が認められており、それを認めない本肢特約は買主に不利であり、無効である。
*宅建業法40条

ウ 無効。宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、契約不適合責任に関し、原則として民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。民法では、契約不適合責任を追及するには、買主の善意・悪意を問わないので、この特約は買主に不利であり、本肢特約は無効である。
*宅建業法40条

エ 無効。宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、原則として民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。民法では、損害賠償を除く契約不適合責任は売主の無過失責任とされており、売主に過失を要求する本肢特約は買主に不利であり、無効である。
*宅建業法40条

以上より、有効なものはなく、正解は「なし」となる。


【解法のポイント】本問は、肢ウについて、有効な特約として出題されていましたが、令和2年の法改正により無効な特約となり、正解は「なし」となっています。