下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成25年 問39

【問 39】 マンションに関する次の記述のうち、最高裁判所の判例によれば、正しいものはどれか。

1 構造上及び機能上、独立性を有する建物部分ではあるが、その一部に他の区分所有者らの共用に供される設備が設置されている以上、当該建物部分は、専有部分として区分所有権の目的とはなり得ない。

2 専有部分が賃貸され暴力団事務所として使用されていることを理由に、賃貸借契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求する訴えを提起するために集会の決議をするには、あらかじめ賃借人と共に賃貸人たる区分所有者に対して弁明の機会を与えなければならない。

3 管理規約の規定に基づいて、区分所有者に対し管理費の支払いが義務づけられ、月ごとに所定の方法でそれが支払われる場合に、その管理費の債権は、基本権たる定期金債権から派生する支分権として消滅時効にかかる。

4 法人格を取得していない権利能力なき社団であるマンション管理組合について原告適格が認められることはなく、訴訟担当が認められるのは、管理者又は集会の決議により指定された区分所有者のみである。

【解答及び解説】

【問 39】 正解 3

1 誤り。構造上及び機能上、独立性を有する建物部分であれば、その一部に供用設備があっても、共用設備の利用管理によって当該建物部分の排他的使用に格別の制限ないし障害を生じないときは、専有部分となることができる。
*区分所有法1条

2 誤り。共同の利益に反する行為を行う占有者に対する引渡し請求を提起するための集会の決議の際に、弁明の機会を与えなければならない者は、賃借人であり、賃貸人に弁明の機会を与える必要はない。
*区分所有法60条2項

3 正しい。管理費債権は、管理規約の規定に基づいて、区分所有者に対し管理費の支払いが義務づけられ、月ごとに所定の方法でそれが支払われるもので、基本権たる定期金債権から派生する支分権として消滅時効にかかる。そして、この支分権たる債権は、通常の債権と同様、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないときに、時効によって消滅する。
*民法166条1項

4 誤り。法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができるので、法人格を取得していない権利能力なき社団であるマンション管理組合についても原告適格が認められる。
*民事訴訟法29条