下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成25年 問35

【問 35】 管理組合で、セントラル給湯システム(一括給湯方式)の装置の老朽化とランニングコストの試算結果により、個別給湯方式に切り替えようとしている場合に関する次の記述のうち、区分所有法及びマンション標準管理規約によれば、最も不適切なものはどれか。

1 一括給湯方式を個別給湯方式に切り替えるには、各住戸内の給湯器装置への配管工事も必要になるから、この各住戸内の給湯器設置への配管工事も総会の決議を経れば、管理組合が行うことができる。

2 この切替え工事の実施には、総会で特別決議を経なければならない。

3 この切替え工事の実施に伴う規約の変更については、区分所有者全体に一律にその影響が及ぶから特定の区分所有者の承諾は不要である。

4 各住戸内の給湯器設置については、もともとは共用部分に設置されていた給湯装置を変更することに伴い必要とされるものなので、修繕積立金から支出することができる。

【解答及び解説】

【問 35】 正解 4

1 適切。専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。そして、これは総会の決議事項となっている。
*標準管理規約21条2項

2 適切。その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く共用部分の変更は、総会の特別決議が必要であるが、一括給湯方式を個別給湯方式に切り替えるには、単に給湯管の更生・更新工事程度では終わらない大規模な工事になるので、総会の特別決議が必要となる。
*標準管理規約47条関係コメント⑥オ参照

3 適切。規約の変更が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならないが、本問工事は、区分所有者全体に一律にその影響が及ぶから特定の区分所有者の承諾は不要である。
*区分所有法31条1項

4 不適切。修繕積立金は、「敷地及び共用部分等」の変更には充てることができるが、各住戸内の給湯器設置は専有部分に属するものであり、修繕積立金から支出することはできない。
*標準管理規約28条1項3号


【解法のポイント】肢2は、標準管理規約47条関係コメント⑥に直接例示されている事例ではないので判断が難しかったと思います。ということで、とりあえず保留です。肢4は、やはり専有部分内の器具ですから、修繕積立金では無理、ということで肢4でよかったのではないかと思います。