下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成25年 問30

【問 30】 次の記述のうち、区分所有法及びマンション標準管理規約によれば、不適切なものはいくつあるか。

ア 管理組合が、大規模修繕工事の実施に向け、一級建築士事務所とコンサルティング契約を締結する場合において、理事会が、同契約の締結を管理組合の業務に関する重要事項であると判断したときは、契約の締結に関する決定を理事会の決議で行うことができる。

イ 管理組合に専門委員会を設置するには、理事会の決議で設置することができる場合がある。

ウ 理事長が管理費等の滞納者に対して、管理組合を代表して管理費等の支払請求訴訟を提起するには、マンション標準管理規約によれば、理事会の決議で行うことができる。

エ 理事長が、外壁に穴を開けた区分所有者に対して、共同の利益に反することを理由に区分所有法第57条に基づき原状回復を請求するには、理事会の決議で行うことができる。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【解答及び解説】

【問 30】 正解 1又は2(肢エが適切とも不適切ともとれる)

ア 不適切。「その他管理組合の業務に関する重要事項」というのは、総会の決議事項であり、本肢契約を管理組合の業務に関する重要事項であると判断したのであれば、「総会」の決議が必要となる。
*標準管理規約48条17号

イ 適切。理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる。
*標準管理規約55条1項

ウ 適切。理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、「理事会の決議」により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。
*標準管理規約60条4項

エ 適切又は不適切。共同の利益に反する行為を行う区分所有者に対する行為の停止等の請求について訴訟を提起するには、「集会の決議」が必要である(区分所有法57条2項)。他方、区分所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、理事長は、「理事会の決議」を経て、行為の差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる(標準管理規約67条3項)。


以上より、不適切なものは、肢アのみ、あるいは肢ア及び肢エとなるので、正解は肢1又は肢2となる。


【解法のポイント】本問は、合格発表に伴う正解番号の公表において、正解番号の肢1又は肢2の二つになった問題です。原因は、肢エです。肢ア~肢ウは問題ないので、結果としては、できなければいけない問題となっていると思います。したがって、受験生としては、肢エについては勉強する必要はないと思いますが、資料的な意味も込めて、一応掲載しておきます。