下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成25年 問6

【動画解説】法律 辻説法

【問 6】 マンションにおいて発生した次の各不法行為に関する記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。

ア 管理組合A(以下、本問において「A」という。)とマンション管理業者B(以下、本問において「B」という。)との間で管理委託契約が締結されていたところ、同管理委託契約にかかるBの職務を行うについて、Bの被用者CがAの組合員Dの名誉を毀損した場合に、Dは、損害賠償請求を、Bに対してすることはできるが、Cに対してすることはできない。

イ マンションの敷地にある樹木につき栽植又は支持に瑕疵があったために、当該樹木が倒れて通行人Eが負傷した場合に、Eは、損害賠償請求を、当該マンションの理事長又は管理者に対してすることはできるが、管理組合又は組合員全員に対してすることはできない。

ウ マンション内で飼育されている犬に噛まれて来訪者Fが怪我をした場合に、Fは、損害賠償請求をその犬の占有者に対してすることはできない。

エ 建物の設置又は保存に瑕疵があることによってAの組合員Gに損害を与えた場合、その瑕疵が専有部分に存したときには、Gは、当該専有部分の区分所有者に対して損害賠償請求をすることができるが、管理組合又は組合員全員に対してすることはできない。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【解答及び解説】

【問 6】 正解 3

ア 誤り。ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。これは、被用者の責任を免除するものではなく、使用者とともに、被用者も併存して責任を負う。
*民法715条1項

イ 誤り。マンション敷地内の樹木は区分所有者全員の共有であり、管理組合又は組合員全員に対しても損害賠償請求をすることができる。
*民法717条2項

ウ 誤り。動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負うので、Fは犬の占有者に対して損害賠償請求をすることができる。
*民法718条1項

エ 正しい。建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定されるが、瑕疵が専有部分に存することが証明されるのであれば、専有部分の区分所有者が責任を負うのであり、管理組合又は組合員全員が責任を負うことはない。
*民法717条

以上より、誤っているものは、ア、イ、ウの三つであり、正解は肢3となる。


【解法のポイント】この問題は、不法行為の問題としては普通のものではないかと思います。