下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
管理業務主任者 過去問解説 平成25年 問3
【問 3】 管理費の支払い等に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、本問において管理組合の管理費月額は10,000円であり、毎月月末に当月分を支払う定めがあるものとする。
1 区分所有者が、管理組合に対して、ある期の管理費について、管理費月額を15,000円であると誤認して支払った場合には、その過払分5,000円については、次期の管理費として当然に充当され、管理組合に対して返還請求をすることはできない。
2 区分所有者が、管理組合に対して、ある年の5月分の管理費月額10,000円を同年5月1日に支払った場合には、当該区分所有者は、同年5月末日の到来前において、管理組合に対して、その支払額の返還を請求することができる。
3 区分所有者Aが、他の区分所有者Bの管理費を立て替えて支払った場合に、Aは、Bに対して有する求償権について、Bの区分所有権及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。
4 区分所有者が、管理組合の理事長に対して、不法なことを行わせる目的で金銭を給付した場合に、当該区分所有者は、当該理事長に対して、上記給付は公序良俗に反し無効であるとして返還を請求することができる。
【解答及び解説】
【問 3】 正解 3
1 誤り。法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う(不当利得)。したがって、区分所有者は返還請求することができる。
*民法703条
2 誤り。債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。本問の管理費は、月末払いで期限前の弁済となり、返還請求することはできない。
*民法706条
3 正しい。区分所有者は、共用部分等につき「他の区分所有者」に対して有する債権について、債務者の区分所有権及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理費は、この債権に該当する。
*区分所有法7条1項
4 誤り。不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。理事長に対して不法なことを行わせる目的というのは、「不法な原因」に当たる。
*民法708条
【解法のポイント】この問題は、不当利得、先取特権の問題で、難しかったと思います。ただ、先取特権に関する肢3は、基本的な問題なので、正解は導ける、という感じでしょうか。あまり、自分の知らない難しい肢に振り回されないことが重要です。