下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成24年 問3

【動画解説】法律 辻説法

【問 3】 マンションの管理費の支払債務と時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 区分所有者が、管理組合に対して負う管理費の支払債務について、管理組合が区分所有者に対しその遅滞につき支払いの催告を行っても、催告後、6箇月以内に裁判上の請求など一定の行為をしなければ、時効の完成猶予の効力が生じない。

2 区分所有者が、管理組合に対して負う管理費の支払債務が時効により消滅した場合には、管理費の支払いの遅滞によって発生した遅延損害金も消滅する。

3 区分所有者が、管理組合に対して管理費を支払わないまま10年間又は20年間にわたり共用部分の占有を継続した場合でも、その事実だけで当該共用部分の所有権を時効取得できるわけではない。

4 区分所有者が、管理組合に対して負う管理費の支払債務について、区分所有者は時効の利益をあらかじめ放棄することを規約に定めておくことができる。

【解答及び解説】

【問 3】 正解 4

1 正しい。催告があったときは、その時から6ヶ月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。そして、この6ヶ月の間に裁判上の請求など一定の行為をしなければ時効の完成猶予の効力は生じない。
*民法150条1項

2 正しい。時効の効力は、その起算日にさかのぼる、つまり遡及効があるので、管理費の支払債務が時効により消滅した場合は、債務が最初からなかったのと同様の扱いになり、管理費の支払いの遅滞によって発生した遅延損害金も消滅する。
*民法144条

3 正しい。所有権の時効取得は、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有することが必要であり、単に管理費を支払わないまま10年間又は20年間にわたり共用部分の占有を継続したというだけで所有権を時効取得できるわけではない。
*民法162条

4 誤り。時効の利益は、時効完成前にあらかじめ放棄することができないので、本肢のような規約の定めは無効である。
*民法146条