下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成23年 問43

【問 43】 次の記述のうち、消費者契約法(平成12年法律第61号)の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 株式会社が、マンションの1室を業務用として使用する個人に売却する契約には、消費者契約法は適用されない。

2 宅地建物取引業法の消費者保護に関する規定が適用される契約には、消費者契約法は適用されない。

3 消費者契約法が適用されるマンションの賃貸借契約において、賃貸借契約終了時に賃借人に返還されるべき敷金から一定額を償却する(敷引き)特約は、同法に抵触し無効である。

4 売主が事業者で買主が消費者であるマンションの売買契約において、売主の契約不適合による損害賠償責任の全部を免除する契約条項は、売主が宅地建物取引業者でなければ有効である。

【解答及び解説】

【問 43】 正解 1

1 正しい。「消費者」とは、個人をいうが、事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人は除かれている。
*消費契約法2条1項

2 誤り。消費者契約の条項の効力等について、民法及び商法以外の他の法律(個別法)に別段の定めがあるときは、個別法の定めるところによる(消費契約法11条2項)。しかし、消費契約法は、消費者契約における基本的なルールを定めているものであり、消費契約法の規定を後退されるような個別法の規定を優先させるべきではないとされている。したがって、宅地建物取引業法の消費者保護に関する規定でも、消費者契約法が適用されることもある。
*消費契約法11条2項

3 誤り。消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とするとされているが、金額を問わず、すべての敷引き特約が無効とはいえない。
*消費契約法10条

4 誤り。消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に契約不適合があるときに、当該契約不適合により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項は、無効とされる。これは、売主が宅地建物取引業者でなくても、事業者であれば同じである。
*消費契約法8条1項1号