下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成23年 問39

【問 39】 Aは、マンション分譲業者Bから甲マンション1階部分に所在する屋内駐車場(101号室)の区分所有権を売買により取得したが、同売買契約に当たっては、同部分を駐車場以外の他の用途に変更しない旨の合意がなされた。なお、専有部分の用途については、規約において何の定めもなかった。その後、Aは、101号室をCに売却したが、Cは、同室を屋内駐車場から飲食店舗に改造して飲食店を営んだ。さらに、101号室は、CからDに賃貸され、Dが同部分で飲食店を営んでいる。そこで甲マンション管理組合は、当該マンションが、101号室を除いてはすべての専有部分が居住の用に供されていることから、集会において規約を改正し(以下本問において改正後の規約を「本件規約」という。)、当該マンションの専有部分は、すべて住宅として使用しなければならない旨の定めを設けた。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 AB間の売買契約においてなされた101号室を駐車場以外の他の用途に変更しない旨の合意は、Aの特定承継人であるCに対しても、その効力を生ずるから、Cの行った店舗への改造は許されない。

2 占有者は、建物等の使用方法につき、区分所有者が規約に基づいて負う義務と同一の義務を負うから、Dは、本件規約により、101号室を飲食店として使用することはできない。

3 本件規約に改正するに当たっては、Cの権利に特別の影響を及ぼすことから、その承諾を得ていない限り、Cは本件規約の制限に拘束されることはなく、店舗としての所有及び賃貸は許される。

4 本件規約に改正するに当たり、Cが本件規約を議題とする集会において、集会の招集者に対して白紙委任状を提出した場合には、個別的承諾があったものとみなされ、Cは本件規約の制限に拘束されるから、店舗としての所有及び賃貸は許されない。

【解答及び解説】

【問 39】 正解 3

1 誤り。101号室を駐車場以外の他の用途に変更しない旨の合意は、AB間の合意であり、Cがそれに拘束されることはないので、Cの店舗への改造も許される。

2 誤り。占有者は、建物等の使用方法につき、区分所有者が「規約」に基づいて負う義務と同一の義務を負うという点は正しいが、駐車場以外の用途に変更できないというのは、AB間の「合意」によるものであり、「規約」によるものではないから、Dが、本件規約により、101号室を飲食店として使用することはできないというわけではない。

3 正しい。101号室を駐車場以外の他の用途に変更しない旨の合意は、AB間の合意であり、Cがそれに拘束されることはないので、本問規約改正には、Cの権利に特別の影響を及ぼすものとして、Cの承諾が必要となり、その承諾を得ていないのであれば、Cはその規約に拘束されることはない。
*区分所有法31条1項

4 誤り。Cが本件規約を議題とする集会において、白紙委任状の提出をもって、直ちに規約改正に対する個別的承諾と解することはできないので、Cが個別に規約改正に対する承諾がなければ、Cは本件規約には拘束されない。
*区分所有法31条1項


【解法のポイント】本問は、平成9年3月27日の最高裁の判例を元に出題されています。