下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成23年 問11

【動画解説】法律 辻説法

【問 11】 マンションの管理組合A(以下本問において「A」という。)とマンション管理業者B(以下本問において「B」という。)との間で管理委託契約が締結されたが、同契約では、Bが管理費等の滞納者(以下本問において「滞納組合員」という。)に対する同契約所定の督促を行っても、当該滞納組合員が支払わないときは、Bは責めを免れ、その後の収納の請求はAが行うものとされている場合に関し、Aが検討している次の方策のうち、民法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。

ア 滞納組合員に対して、連帯保証人を選任してもらい、以後は、滞納組合員と連帯保証人との間の保証委託契約を、もっぱら根拠として、滞納分について連帯保証人に対して請求したい。

イ 滞納組合員に対して、管理費等の債務が時効により消滅するのを防ぐために、時効完成前に、時効の利益を放棄する旨の文書を提出させておきたい。

ウ 滞納組合員が、Aに対して金銭債権(悪意による不法行為に基づく損害賠償、人の生命又は身体の侵害による損害賠償以外の債権)を有しているときは、滞納額と同債権にかかる債権額とを対等額にて相殺したい。

エ Aの収納請求の事務上の負担を軽減するために、滞納組合員に対して、以後は、管理費等を供託所に供託させることにしたい。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【解答及び解説】

【問 11】 正解 3

ア 誤り。債権者が連帯保証人に対して請求するには、債権者と連帯保証人となろうとする者の間で連帯保証契約を締結する必要があり、この連帯保証契約に基づいて、債権者が請求を行うことになる。この連帯保証契約は、主たる債務者が連帯保証人と締結する保証「委託」契約とは異なり、この保証委託契約を根拠に債権者が連帯保証人に請求をすることはできない。
*民法446条

イ 誤り。時効の利益は、時効完成前にあらかじめ放棄することができない。
*民法146条

ウ 正しい。二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。本肢では、双方の債権が金銭債権であり、特に相殺が禁止される事由もないので、相殺することができる。
*民法505条1項

エ 誤り。供託することができるのは、1.弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき、2.債権者が弁済を受領することができないとき、3.弁済者が債権者を確知することができないときであり、それ以外の収納請求の事務上の負担を軽減するためのような理由によって供託することはできない。
*民法494条

以上より、誤っているのは肢ア、肢イ、肢エの3つであり、正解は肢3となる。