下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成23年 問10

【動画解説】法律 辻説法

【問 10】 マンションの管理費の滞納に対する対策及びその法的手続について管理業務主任者(マンション管理適正化法第2条第9号に規定する者をいう。以下同じ。)が管理者等に対して行った次の説明のうち、正しいものはどれか。

1 管理費の滞納額の全額でなくても、滞納者が一部の支払いであることを明示して、一部の額を支払ったときは、その残額についても時効が更新されます。

2 滞納管理費を裁判外において書面で請求する場合、内容証明郵便により、6箇月ごとの催告を継続すれば、そのつど管理費債権の消滅時効の完成が猶予されます。

3 専有部分について賃貸借契約が締結され、その旨の通知が管理組合に対してなされた場合、滞納管理費の請求の訴えは、賃借人を被告としなければなりません。

4 滞納管理費を請求する場合、管理費の滞納額が60万円以下のときは、民事訴訟法(平成8年法律第109号)の「少額訴訟」の手続によらなければなりません。

【解答及び解説】

【問 10】 正解 1

1 正しい。債務者が一部の支払いであることを明示して、一部支払いをした場合は、時効の更新事由の一つである「承認」に該当する。
*民法152条1項

2 誤り。催告があったときは、その時から6ヶ月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。ただ、催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、時効の完成猶予の効力を有しない。6ヶ月ごとに催告を継続しても同じである。
*民法150条2項

3 誤り。管理費の支払義務は、区分所有者に課されており、管理組合に賃貸借契約の通知をしても、区分所有者が滞納管理費の支払義務を負うことに変わりはない。
*区分所有法19条

4 誤り。訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることが「できる」だけであり、少額訴訟の手続によらなければならないわけではない。
*民事訴訟法368条