下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成23年 問9

【問 9】 緊急時における管理事務に関する次の記述のうち、マンション標準管理委託契約書の定めによれば、不適切なものはいくつあるか。

ア 地震により共用部分の給水管から漏水が発生しているが、マンション管理業者が受託している給水設備の管理業務の内容は、水道法(昭和32年法律第177号)に規定された水質検査や塩素等の測定、受水槽、給水管などの外観目視点検であることから、止水の作業を行うことはできない。

イ 地震により漏水が発生していることについて、マンション管理業者に通報があり、通報者の上階に位置する者の専有部分を調査する必要があるため、専有部分へ立ち入る場合には、その専有部分を所有する組合員に対し立入りの請求を行い、その承諾を得た後でなければ立ち入ることはできない。

ウ マンション管理業者が、緊急時に管理組合の承認を得ることなく、やむを得ず行った業務については、承認を得ていないものであるから、管理組合は、当該業務に要した費用を支払う必要はない。

エ 地震発生後、被害状況の調査を行ったところ、エントランスホール入り口部分の天井が剥がれ、落下の可能性がある危険な状態にあるため、緊急に補修工事を行う必要がある場合でも、マンション管理業者は、管理組合の承認を受けなければ、当該工事の発注をすることはできない。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【解答及び解説】

【問 9】 正解 4

ア 不適切。管理業者は、地震等の事由により、管理組合のために、緊急に行う必要がある業務で、管理組合の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、管理組合の承認を受けないで実施することができる。したがって、本肢の止水の作業も行うことができる。
*標準管理委託契約書8条1項

イ 不適切。管理業者は、地震等の事由により、管理組合のために緊急に行う必要がある場合、専有部分等に立ち入ることができる。この場合において、管理業者は、管理組合及び管理業者が立ち入った専有部分等に係る組合員等に対し、「事後」速やかに、報告をしなければならない。組合員の承諾を得た後でなければ立ち入ることはできないわけではない。
*標準管理委託契約書13条3項

ウ 不適切。管理業者は、地震等の事由により、管理組合のためにやむを得ず支出した費用については、管理組合は、速やかに、乙に支払わなければならない。
*標準管理委託契約書8条2項

エ 不適切。管理業者は、地震等の事由により、管理組合のために、緊急に行う必要がある業務で、管理組合の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、管理組合の承認を受けないで実施することができる。したがって、管理組合の承認を受ける時間的な余裕がなければ本肢工事を発注することができる。
*標準管理委託契約書8条1項

以上より、不適切なものは、肢ア~エの4つすべてで、正解は肢4となる。